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長安春望(盧綸)

長安春望
長(ちょう)安(あん)春(しゅん)望(ぼう)
盧(ろ)綸(りん)
  • 七言律詩。東・公・空・窮・同(上平声東韻)。
  • ウィキソース「長安春望 (盧綸)」参照。
  • 春望 … 春の景色。
  • 盧綸 … 743?~800。中唐の詩人。河中府蒲(ほ)県(けん)(山西省臨汾市蒲県)の人。字(あざな)は允言(いんげん)。大暦年間の初年、上京して科挙を受験したが何度も落第した。しかし、宰相の元載(げんさい)にその文才を認められて、閿(ぶん)郷(きょう)(河南省霊宝市)の尉となり、昇進して監察御史に至ったが、病気のため辞職して帰郷した。のち河中府を治めていた渾瑊(こんかん)に招かれて元帥判官、検校戸部郎中となった。大暦十才子の一人。『盧戸部詩集』十巻がある。ウィキペディア【盧綸】参照。
東風吹雨過靑山
東風(とうふう) 雨(あめ)を吹(ふ)いて青山(せいざん)を過(す)ぐ
  • 東風 … 春風。
卻望千門草色閑
却(かえ)って千門(せんもん)を望(のぞ)めば草(そう)色(しょく)閑(かん)なり
  • 千門 … 宮殿の多くの門。千は、数の多いことを示す。『史記』孝武本紀に「是に於いて建章宮を作る。度(はか)りて千門万戸を為(つく)る」(於是作建章宮。度爲千門萬戶)とある。ウィキソース「史記/卷012」参照。また、後漢の班固「西都の賦」(『文選』巻一)に「千門を張りて万戸を立て、陰陽に順(したが)って以て開闔(かいこう)す」(張千門而立萬戸、順陰陽以開闔)とある。開闔は、開閉に同じ。ウィキソース「西都賦」参照。
  • 草色 … 若草の色。
  • 草 … 『全唐詩』には「一作柳」と注する。
  • 閑 … のどか。のんびりしているさま。
家在夢中何日到
家(いえ)は夢(む)中(ちゅう)に在(あ)って何(いず)れの日(ひ)にか到(いた)らん
  • 家 … ふるさとの家。
  • 夢中 … 夢の中。
  • 何日到 … いつになったら帰れるのか。
春來江上幾人還
春(はる)は江(こう)上(じょう)に来(きた)って幾人(いくにん)か還(かえ)る
  • 來 … 『全唐詩』では「生」に作り、「一作歸、又作來」と注する。『唐五十家詩集本』では「生」に作る。
  • 江上 … 川のほとり。
  • 幾人還 … 故郷へ帰りうる人は、何人あろうか。
川原繚繞浮雲外
川原(せんげん)繚繞(りょうじょう)たり 浮(ふ)雲(うん)の外(そと)
  • 川原 … 川岸の平原。
  • 繚繞 … くねくねと曲がっているさま。
  • 浮雲外 … 浮き雲の彼方。
宮闕參差落照閒
宮(きゅう)闕(けつ)参(しん)差(し)たり 落(らく)照(しょう)の間(かん)
  • 宮闕 … 宮殿。
  • 参差 … 高低の差があって、ふぞろいな様子。
  • 落照 … 夕日の光。
誰念爲儒逢世難
誰(たれ)か念(おも)わん 儒(じゅ)と為(な)りて世難(せいなん)に逢(あ)い
  • 誰念 … 誰が予測したであろうか。
  • 儒 … 儒者。
  • 世難 … 世の乱れ。
  • 逢世難 … 『全唐詩』には「一作多失意」と注する。
獨將衰鬢客秦關
独(ひと)り衰鬢(すいびん)を将(も)って秦関(しんかん)に客(かく)たらんとは
  • 衰鬢 … 薄くなったびんの毛。鬢は、耳ぎわの髪。
  • 将 … 以に同じ。
  • 秦関 … 戦国時代の秦の国の関所。ここでは、長安の地方を指す。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百七十九(排印本、中華書局、1960年)
  • 『盧綸集』巻五(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
  • 『唐盧綸詩集』巻下(元禄二年刊本、『和刻本漢詩集成 唐詩8』所収、汲古書院、1975年、略称:元禄刊本)
  • 『唐詩品彙』巻八十六([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『唐詩別裁集』巻十四([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
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