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長安春望(盧綸)

長安春望
ちょうあんしゅんぼう
りん
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻二百七十九、『盧綸集』巻五(『唐五十家詩集』所収)、『唐盧綸詩集』巻下・元禄二年刊(『和刻本漢詩集成 唐詩8』所収、231頁、略称:元禄刊本)、『唐詩品彙』巻八十六、『唐詩別裁集』巻十四、他
  • 七言律詩。東・公・空・窮・同(平声東韻)。
  • ウィキソース「長安春望 (盧綸)」参照。
  • 春望 … 春の景色。
  • 盧綸 … 739~799。中唐の詩人。河中けん(山西省永済県)の人。あざな允言いんげん。大暦年間の初年、上京して科挙を受験したが何度も落第した。しかし、宰相の元載げんさいにその文才を認められて、ぶんきょう(河南省霊宝市)の尉となり、昇進して監察御史に至ったが、病気のため辞職して帰郷した。のち河中府を治めていた渾瑊こんかんに招かれて元帥判官、検校戸部郎中となった。大暦十才子の一人。『盧戸部詩集』十巻がある。ウィキペディア【盧綸】参照。
東風吹雨過靑山
東風とうふう あめいて青山せいざん
  • 東風 … 春風。
卻望千門草色閑
かえって千門せんもんのぞめばそうしょくかんなり
  • 千門 … 宮殿の門。
  • 草色 … 若草の色。
  • 草 … 『全唐詩』には「一作柳」とある。『元禄刊本』『唐詩別裁集』では「艸」に作る。同義。
  • 閑 … のどか。のんびりしているさま。『全唐詩』『唐五十家詩集本』『唐詩別裁集』では「閒」に作る。
家在夢中何日到
いえちゅうっていずれのにかいたらん
  • 家 … ふるさとの家。
  • 夢中 … 夢の中。
  • 何日到 … いつになったら帰れるのか。
春來江上幾人還
はるこうじょうきたって幾人いくにんかえ
  • 來 … 『全唐詩』では「生」に作り、「一作歸、又作來」とある。『唐五十家詩集本』では「生」に作る。
  • 江上 … 川のほとり。
  • 幾人還 … 故郷へ帰りうる人は、何人あろうか。
川原繚繞浮雲外
川原せんげん繚繞りょうじょうたり うんそと
  • 川原 … 川岸の平原。
  • 繚繞 … くねくねと曲がっているさま。
  • 浮雲外 … 浮き雲の彼方。
宮闕參差落照閒
きゅうけつしんたり らくしょうかん
  • 宮闕 … 宮殿。
  • 参差 … 高低の差があって、ふぞろいな様子。
  • 落照 … 夕日の光。
誰念爲儒逢世難
たれおもわん じゅりて世難せいなん
  • 誰念 … 誰が予測したであろうか。
  • 儒 … 儒者。
  • 世難 … 世の乱れ。
  • 逢世難 … 『全唐詩』には「一作多失意」とある。
獨將衰鬢客秦關
ひと衰鬢すいびんって秦関しんかんかくたらんとは
  • 衰鬢 … 薄くなったびんの毛。「鬢」は耳ぎわの髪。
  • 鬢 … 「髩」「鬂」に作るテキストもある。異体字。
  • 将 … 「以」と同じ。
  • 秦関 … 戦国時代の秦の国の関所。ここでは長安の地方を指す。
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