>   漢詩   >   唐詩選   >   巻五 七律   >   贈銭起秋夜宿霊台寺見寄(郎士元)

贈銭起秋夜宿霊台寺見寄(郎士元)

贈錢起秋夜宿靈臺寺見寄
せんしゅう霊台れいだい宿しゅくしてせられしにおく
ろうげん
  • 七言律詩。東・公・空・窮・同(平声東韻)。
  • 『全唐詩』巻248所収。『全唐詩』では「題精舍寺」に作り、「一作酬王季友秋夜宿露臺寺見寄」とある。ウィキソース「題精舍寺 (郎士元)」参照。
  • 銭起 … 710?~780?。中唐の詩人。呉興(浙江省)の人。あざなは仲文。天宝十載(751)、進士に及第。郎士元とともに「銭郎」と称された。ウィキペディア【銭起】参照。
  • 霊台寺 … 未詳。
  • この詩は銭起がある秋の夜、霊台寺に泊まって作った詩を作者によこしてきたのに対し、作者がこれに答えたもの。銭起のそのときの詩は「夜宿靈臺寺寄郎士元」(『全唐詩』巻239所収)である。ウィキソース「夜宿靈臺寺寄郎士元」参照。
  • 郎士元 … 727~780?。中唐の詩人。中山の人。あざなは君冑。銭起とともに「銭郎」と称された。ウィキペディア【郎士元】参照。
石林精舍武溪東
石林せきりんしょうじゃ けいひがし
  • 石林 … 寺院の名を表す固有名詞。または石が林立する景勝の地。
  • 精舎 … 寺院。寺。
  • 武渓 … 谷川の名。詳細は不明。
  • 東 … 『全唐詩』には「一作中」とある。
夜叩禪扉謁遠公
よる ぜんたたいて遠公おんこうえつ
  • 禅扉 … 禅寺の扉。
  • 扉 … 『全唐詩』では「關」に作り、「一作扉」とある。
  • 遠公 … 晋の高僧おん(334~416)の尊称。ここでは霊台寺の住職を慧遠にたとえている。ウィキペディア【慧遠 (東晋)】参照。
月在上方諸品靜
つきじょうほうりて諸品しょぼんしずかに
  • 上方 … 仏教でいう上方世界と、天上とをかけて言ったもの。
  • 諸品 … 万物。
心持半偈萬縁空
こころはんして万縁ばんえんむな
  • 心 … 『全唐詩』では「僧」に作る。
  • 半偈 … 「偈」は仏教の讃歌。通常は四句から成る。「半偈」はその半分の二句。
  • 万縁 … あらゆる因縁。一切の世俗的な関係。
  • 空 … くうの境地に入ること。
蒼苔古道行應遍
蒼苔そうたいどう いてまさあまねかるべし
  • 蒼苔 … 青い苔。
  • 古道 … 古い道。
  • 遍 … くまなく歩きまわる。
  • 蒼苔古道行應遍 … 『全唐詩』では「秋山竟日聞猿嘯」に作り、「一作蒼苔古道行應遍」とある。
落木寒泉聽不窮
落木らくぼく 寒泉かんせん いてきわまらず
  • 落木 … 木々の落葉の音。
  • 寒泉 … 冷たい泉の湧く音。
  • 聴不窮 … 聴けども聴き尽くせない。
更憶雙峰最高頂
さらおもう 双峰そうほうさいこうちょう
  • 更憶 … 更に想像する。『全唐詩』では「惟有」に作り、「一作更憶」とある。
  • 双峰 … 二つならんだ峰。銭起の詩に「あしたる双頂 青冥の上」(朝瞻雙頂青冥上)とあるのをふまえる。ウィキソース「夜宿靈臺寺寄郎士元」参照。
此心期與故人同
こころ じんおなじからんことを
  • 此心 … 双峰の最高頂を眺める心。
  • 故人 … 旧友。銭起をさす。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行