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贈銭起秋夜宿霊台寺見寄(郎士元)

贈錢起秋夜宿靈臺寺見寄
銭(せん)起(き)が秋(しゅう)夜(や)、霊台(れいだい)寺(じ)に宿(しゅく)して寄(よ)せられしに贈(おく)る
郎(ろう)士(し)元(げん)
  • 七言律詩。東・公・空・窮・同(上平声東韻)。
  • ウィキソース「題精舍寺 (郎士元)」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』では「題精舍寺」に作り、「一に『王季友の秋夜、露台寺に宿して寄せられしに酬ゆ』に作る」(一作酬王季友秋夜宿露臺寺見寄)と注する。
  • 銭起 … 710?~780?。中唐の詩人。呉興(浙江省)の人。字(あざな)は仲文。天宝十載(751)、進士に及第。郎士元とともに「銭郎」と称された。ウィキペディア【銭起】参照。
  • 霊台寺 … 未詳。
  • この詩は銭起がある秋の夜、霊台寺に泊まって作った詩を作者によこしてきたのに対し、作者がこれに答えたもの。銭起のそのときの詩は「夜宿靈臺寺寄郎士元」(『全唐詩』巻二百三十九所収)である。ウィキソース「夜宿靈臺寺寄郎士元」参照。
  • 郎士元 … 727~780?。中唐の詩人。中山の人。字(あざな)は君冑。銭起とともに「銭郎」と称された。ウィキペディア【郎士元】参照。
石林精舍武溪東
石林(せきりん)の精(しょう)舎(じゃ) 武(ぶ)渓(けい)の東(ひがし)
  • 石林 … 寺院の名を表す固有名詞。または石が林立する景勝の地。
  • 精舎 … 寺院。寺。
  • 武渓 … 谷川の名。詳細は不明。
  • 東 … 『全唐詩』には「一作中」と注する。
夜叩禪扉謁遠公
夜(よる) 禅(ぜん)扉(ぴ)を叩(たた)いて遠公(おんこう)に謁(えつ)す
  • 禅扉 … 禅寺の扉。
  • 扉 … 『全唐詩』では「關」に作り、「一作扉」と注する。
  • 遠公 … 晋の高僧慧(え)遠(おん)(334~416)の尊称。ここでは霊台寺の住職を慧遠にたとえている。ウィキペディア【慧遠 (東晋)】参照。
月在上方諸品靜
月(つき)は上(じょう)方(ほう)に在(あ)りて諸品(しょぼん)静(しず)かに
  • 上方 … 仏教でいう上方世界と、天上とをかけて言ったもの。
  • 諸品 … 万物。
心持半偈萬縁空
心(こころ)は半(はん)偈(げ)を持(じ)して万縁(ばんえん)空(むな)し
  • 心 … 『全唐詩』では「僧」に作る。
  • 半偈 … 偈は、仏教の讃歌。通常は四句から成る。半偈は、その半分の二句。
  • 万縁 … あらゆる因縁。一切の世俗的な関係。
  • 空 … 空(くう)の境地に入ること。
蒼苔古道行應遍
蒼苔(そうたい)の古(こ)道(どう) 行(ゆ)いて応(まさ)に遍(あま)ねかるべし
  • 蒼苔 … 青い苔。
  • 古道 … 古い道。
  • 遍 … くまなく歩きまわる。
  • 蒼苔古道行應遍 … 『全唐詩』では「秋山竟日聞猿嘯」に作り、「一作蒼苔古道行應遍」と注する。
落木寒泉聽不窮
落木(らくぼく) 寒泉(かんせん) 聴(き)いて窮(きわ)まらず
  • 落木 … 木々の落葉の音。
  • 寒泉 … 冷たい泉の湧く音。
  • 聴不窮 … 聴けども聴き尽くせない。
更憶雙峰最高頂
更(さら)に憶(おも)う 双峰(そうほう)の最(さい)高(こう)頂(ちょう)
  • 更憶 … 更に想像する。『全唐詩』では「惟有」に作り、「一作更憶」と注する。
  • 双峰 … 二つならんだ峰。銭起の「夜、霊台寺に宿して郎士元に寄す」詩に「朝(あした)に瞻(み)る双頂 青冥の上」(朝瞻雙頂青冥上)とあるのを踏まえる。ウィキソース「夜宿靈臺寺寄郎士元」参照。
此心期與故人同
此(こ)の心(こころ) 故(こ)人(じん)と同(おな)じからんことを期(き)す
  • 此心 … 双峰の最高頂を眺める心。
  • 故人 … 旧友。銭起を指す。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百四十八(排印本、中華書局、1960年)
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