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奉和春日出苑矚目応令(賈曾)

奉和春日出苑矚目應令
「春(しゅん)日(じつ)、苑(えん)に出(い)でしときの矚目(しょくもく)」に和(わ)し奉(たてまつ)る 応令(おうれい)
賈(か)曾(そう)
  • 七言律詩。迴・開・臺・才・來(上平声灰韻)。
  • ウィキソース「奉和春日出苑矚目應令」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』には、題下に「時に太子舎人と為り、使いして東都に在りしときの作」(時爲太子舍人、使在東都作)と注する。太子舎人は、太子の秘書。
  • 春日出苑矚目 … 玄宗が皇太子のとき、東宮御苑に出遊し、目に触れたものをそのまま詠じたという詩。『全唐詩』巻三に「春日、苑に出でしときの遊(ゆう)矚(しょく)」(春日出苑遊矚)という玄宗作の詩があり、これが元の詩であろう。ウィキソース「春日出苑遊矚」参照。
  • 矚目 … 目に触れたものをそのまま詩に詠じること。
  • 応令 … 皇太子の命令によって作った詩文。天子の命令のときは「応制」。
  • 賈曾 … ?~727。盛唐の詩人。河南省洛陽の人。賈至の父にあたる。太子舎人として玄宗に仕えた。ウィキペディア【賈曾】参照。
銅龍曉闢問安迴
銅(どう)竜(りゅう) 暁(あかつき)に闢(ひら)き安(あん)を問(と)うて迴(かえ)り
  • 銅竜 … 漢代の東宮御所の門の名。銅竜門。『全唐詩』には「一作彤闈」と注する。
  • 闢 … 閉じた門を左右に開ける。
  • 問安 … 皇太子が毎朝、鶏鳴とともに起き、天子のもとへ挨拶に行くことと定められていた。
金輅春遊博望開
金(きん)輅(ろ) 春(しゅん)遊(ゆう)して博望(はくぼう)開(ひら)く
  • 金輅 … 黄金で飾った車。輅は、くるま。
  • 博望 … 漢の武帝が太子のために設けた御苑。博望苑。
渭北晴光搖草樹
渭(い)北(ほく)の晴光(せいこう) 草樹(そうじゅ)に揺(ゆら)ぎ
  • 渭北 … 長安の北を流れる渭水の北側。ウィキペディア【渭水】参照。
  • 北 … 『全唐詩』には「一作水」と注する。
  • 晴光 … 晴れた日の光。
終南佳氣入樓臺
終(しゅう)南(なん)の佳気(かき) 楼台(ろうだい)に入(い)る
  • 終南 … 終南山。長安の南方にある山。今の陝西省南部、秦嶺山脈の中部あたりを指す。別名南山、中南山、太乙山などともいう。ウィキペディア【終南山】参照。『括地志』雍州、万年県の条に「終南山は、一名中南山、一名太一山、一名南山、一名橘山、一名楚山、一名泰山、一名周南山、一名地脯山、雍州万年県の南五十里に在り」(終南山、一名中南山、一名太一山、一名南山、一名橘山、一名楚山、一名泰山、一名周南山、一名地脯山、在雍州萬年縣南五十里)とある。ウィキソース「括地志輯校」参照。また『詩経』秦風・終南に「終南に何か有る、条(じょう)有り梅(ばい)有り」(終南何有、有條有梅)とある。条は、ユズの木。梅は、ユズリハの木。ウィキソース「詩經/終南」参照。また『書経』禹貢篇に「荊(けい)・岐(き)は既に旅(りょ)し、終南・惇物(とんぶつ)より、鳥(ちょう)鼠(そ)に至る」(荊岐既旅、終南惇物、至于鳥鼠)とある。ウィキソース「尚書/禹貢」参照。
  • 佳気 … めでたい気。『後漢書』光武帝紀下に「気(き)佳(よ)いかな。鬱鬱(うつうつ)葱葱然(そうそうぜん)たり」(氣佳哉。鬱鬱葱葱然)とある。ウィキソース「後漢書/卷1下」参照。
招賢已得商山老
賢(けん)を招(まね)いては已(すで)に得(え)たり 商(しょう)山(ざん)の老(ろう)
  • 招賢 … 賢者を招く。
  • 得 … 『全唐詩』には「一作從」と注する。
  • 商山老 … 陝西省の商山に隠棲していた四人の賢者。四(し)皓(こう)と呼ばれた。東園公・夏黄公・甪里(ろくり)先生・綺里季(きりき)の四老人。商山四皓。
託乘還徵鄴下才
乗(じょう)に託(たく)しては還(ま)た徴(め)す 鄴(ぎょう)下(か)の才(さい)
  • 託乗 … 車に乗せて、行列の中に加えること。
  • 徴 … 招聘する。
  • 鄴下才 … 魏の都であった鄴にいた才子たち。いわゆる「建安の七子」のこと。
臣在東周獨留滯
臣(しん)は東(とう)周(しゅう)に在(あ)りて独(ひと)り留(りゅう)滞(たい)するも
  • 臣 … 私。作者を指す。
  • 東周 … 東周の都、洛陽を指す。
  • 留滞 … 一か所に長くとどまる。
忻逢睿藻日邊來
睿藻(えいそう)の日辺(じっぺん)より来(きた)れるに逢(あ)うを忻(よろこ)ぶ
  • 忻 … よろこぶ。
  • 忻逢 … 『全唐詩』には「一作叨承」と注する。
  • 睿藻 … 天子の作った詩文。ここでは、太子から送られた詩を指す。
  • 日辺 … 太陽のある辺り。長安を指す。晋の明帝の故事を踏まえる。『世説新語』夙慧篇に「明帝に問う、汝が意に謂(おも)えらく、長安は日の遠きに何如(いかん)、と。答えて曰く、日遠し。人の日辺より来たるを聞かず。居然として知る可し、と。元帝、之を異とす。明日群臣を集めて宴会し、告ぐるに此の意を以てし、更に重ねて之を問う。乃ち答えて曰く、日近し、と。元帝色を失いて曰く、爾、何の故に昨日の言に異なるや、と。答えて曰く、目を挙ぐれば日を見るも、長安を見ず、と」(問明帝、汝意謂長安何如日遠。答曰、日遠。不聞人從日邊來。居然可知。元帝異之。明日集羣臣宴會、告以此意、更重問之。乃答曰、日近。元帝失色曰、爾何故異昨日之言邪。答曰、舉目見日、不見長安)とある。ウィキソース「世說新語/夙惠」参照。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻六十七(排印本、中華書局、1960年)
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