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奉和聖製暮春送朝集使帰郡応制(王維)

奉和聖製暮春送朝集使歸郡應制
聖製せいせいしゅん朝集ちょうしゅう使ぐんかえるをおくる」にたてまつる 応制おうせい
おう
  • 〔テキスト〕 『王右丞文集』巻二(静嘉堂文庫蔵、略称:静嘉堂本)、『王摩詰文集』巻四(略称:蜀刊本)、『須溪先生校本唐王右丞集』巻二(『四部叢刊 初篇集部』所収)、顧起経注『類箋唐王右丞詩集』巻六(略称:顧起経注本)、顧可久注『唐王右丞詩集』巻二(『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、略称:顧可久注本)、趙殿成注『王右丞集箋注』巻十一(略称:趙注本)、『唐詩選』巻四、『全唐詩』巻一百二十七、『文苑英華』巻一百七十七、『唐詩品彙』巻七十四、他
  • 五言排律。周・旒・侯・州・溝・憂・州(平声尤韻)。
  • ウィキソース「奉和聖製暮春送朝集使歸郡應制」参照。
  • 聖製 … 天子の作られた詩歌。ここでは玄宗皇帝の御製ぎょせい
  • 暮春 … 春の終わり頃。晩春。
  • 朝集使 … 毎年、各郡から朝廷に集まり、その地方の政務や会計の報告をする使者。通常、都督・刺史などの地方長官またはこれに準ずる者があたった。
  • 応制 … 天子の命令によって作られた詩文。
  • この詩は、ある年の春の終わり頃、朝集使が任務を終えてそれぞれの郡に帰るにあたり、天子(玄宗皇帝)が送別の宴を開いて詩を作り、臣下に唱和を命じたとき、作者が答えて作ったもの。なお、このときに作られた玄宗皇帝の御製は今に伝わっていない。
  • 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。あざなきつ。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられてしょうじょゆうじょう(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
萬國仰宗周
万国ばんこく そうしゅうあお
  • 万国 … 周代、諸侯が封ぜられた国々。ここでは唐の各郡を指す。蜀刊本では「方国」に作る。「方国」は、四方の国の意。
  • 宗周 … 周の王都のこと。ここでは唐の都長安を指す。『博物志』巻六に「しゅうこうしょくよりぶんいたって、みなかんちゅうみやこす。ごうしてそうしゅうす」(周自后稷至於文武、皆都關中。號爲宗周)とある。ウィキソース「博物志/卷之六」参照。
衣冠拜冕旒
かん べんりゅうはい
  • 衣冠 … 衣服とかんむりをつけた朝集使たち。
  • 冕旒 … 「冕」は、天子がかぶるかんむり。「旒」は、冠の前後に、流れるように垂らした玉飾り。ここでは天子を指す。
玉乘迎大客
ぎょくじょう 大客たいかくむか
  • 玉乗 … 玉で飾った天子の御車。ぎょくぎょくれん
  • 大客 … 大国からの賓客。ここでは朝集使を指す。
金節送諸侯
金節きんせつ 諸侯しょこうおく
  • 金節 … 黄金の割符。周代、諸侯の使者が帰国するとき、天子から通行証として賜ったもの。一種の旅券。
祖席傾三省
せき さんしょうかたむ
  • 祖席 … 送別の宴席。
  • 三省 … 中書省・門下省・尚書省。中央官庁の総称として用いる。ここでは中央官庁の役人全員を指す。
  • 傾 … 杯を横にして酒をついで飲むこと。
褰帷向九州
けん 九州きゅうしゅうむか
  • 褰帷 … 車のとばりをまくり上げること。「褰」は、かかげる。後漢のそうが刺史として任地を巡行するのに、車のとばりを褰げさせたという故事に基づく。『後漢書』そう伝に「そうくにおよび、くるまのぼりてっていわく、刺史ししまさとおひろき、あくきゅうさつすべし。なんかえりてしょうれ、もっみずか掩塞えんそくするらんや。すなわ御者ぎょしゃめいこれかかげしむ」(及琮之部、升車言曰、刺史當遠視廣聽、糾察美惡。何有反垂帷裳、以自掩塞乎。乃命御者褰之)とある。ウィキソース「後漢書/卷31」参照。
  • 帷 … とばり。垂れ幕。底本(冨山房『漢文大系』)では「惟」に作るが、諸本に従い改めた。
  • 九州 … 禹が中国を九つの州(揚州・荊州・豫州・青州・えん州・雍州・幽州・州・へい州)に区分したという。ここでは中国全土を指す。『周礼しゅらい』に「東南とうなんようしゅうい……」(東南曰揚州……)とある。ウィキソース「周禮/夏官司馬」参照。
楊花飛上路
よう じょう
  • 楊花 … 柳の白い花。風に吹かれて飛ぶ。りゅうじょ
  • 上路 … 都大路。
槐色蔭通溝
かいしょく 通溝つうこうおお
  • 槐色 … えんじゅの葉の緑の色。ウィキペディア【エンジュ】参照。
  • 通溝 … 御苑を流れる御溝ぎょこう。禁中の堀。
來預鈞天樂
きたって鈞天きんてんがくあずかり
  • 来 … 『文苑英華』では「未」に作る。
  • 鈞天楽 … 天上の音楽。「鈞天」は、天の中央。天帝のいる所。ここでは宮中の音楽に喩える。『列子』周穆王篇に「おうまこと以為おもえらく、せい紫微しび鈞天きんてん広楽こうがくていところなりと」(王實以爲、清都、紫微、鈞天、廣樂、帝之所居)とある。ウィキソース「列子/周穆王篇」参照。
歸分漢主憂
かえって漢主かんしゅうれいをわか
  • 漢主憂 … 天子が地方政治についていろいろ心配すること。「漢主」は、天子のこと。
  • 分 … 分担する。地方長官が天子の気持ちを汲んで、適切な措置をすること。
宸章類河漢
しんしょう かんるい
  • 宸章 … 天子が作った詩文。御製ぎょせい
  • 類河 … 『全唐詩』には「一作在雲」とある。
  • 河漢 … 天の川。『詩経』大雅・棫樸よくぼく篇に「たくたる雲漢うんかんしょうてんす」(倬彼雲漢、爲章于天)とある。ウィキソース「詩經/棫樸」参照。「雲漢」も河漢と同様、天の川の意。
垂象滿中州
すいしょう 中州ちゅうしゅう
  • 垂象 … 天界から地上に対して示すさまざまな現象。ここでは天子の民に対する恩徳に喩える。『易経』繋辞上伝に「てんしょうれ、きっきょうあらわして、聖人せいじんこれかたどる」(天垂象、見吉凶、聖人象之)とある。ウィキソース「易傳/繫辭上」(第十一章)参照。
  • 中州 … 中国全土。
  • 中 … 『全唐詩』には「一作皇」とある。
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