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山園小梅二首其一(林逋)

山園小梅二首其一
山園(さんえん)の小(しょう)梅(ばい) 二(に)首(しゅ) 其(そ)の一(いち)
林(りん)逋(ぽ)
  • 〔テキスト〕 『林和靖先生詩集』巻二(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
  • 七言律詩。妍(下平声先韻)、園・昏・魂・尊(上平声元韻)通用。
  • ウィキソース「山園小梅 (林逋)」参照。
  • 山園 … 山中の庭園。ここでは林逋が隠棲した孤(こ)山(ざん)のふもとの庭を指す。
  • 小梅 …小さな梅。
  • 林逋 … 967~1028。北宋の詩人。杭(こう)州(しゅう)銭塘(せんとう)(浙江省杭州市)の人。字(あざな)は君復(くんぷく)。諡(おくりな)は和(わ)靖(せい)。杭州西(せい)湖(こ)の孤(こ)山(ざん)に住み、仕官もせず、独身を通して梅の花と鶴を愛し、隠遁生活で生涯を終えた。『林和靖先生詩集』四巻がある。ウィキペディア【林逋】参照。
衆芳搖落獨暄妍
衆(しゅう)芳(ほう) 揺落(ようらく)して 独(ひと)り暄妍(けんけん)
  • 衆芳 … たくさんの香りのよい花。
  • 揺落 … 散り落ちる。『楚辞』九弁に「悲しいかな、秋の気たるや。蕭(しょう)瑟(しつ)として、草木揺落(ようらく)して変衰(へんすい)す」(悲哉、秋之為氣也。蕭瑟兮、草木揺落而變衰)とある。蕭瑟は、秋風のさびしく吹くさま。変衰は、変化し衰えること。ウィキソース「九辯」参照。
  • 独 … ただ一つ。ただ梅の花だけが。
  • 暄妍 … 日差しが暖かで美しい。暄は、暖かい。妍は、美しい。ここでは、梅の花が艶(あで)やかで美しく咲いていること。
占盡風情向小園
風(ふう)情(じょう)を占(し)め尽(つ)くして 小(しょう)園(えん)に向(むか)う
  • 風情 … 物事の趣(おもむき)。情趣。風(ふ)情(ぜい)。
  • 占尽 … 独占する。独り占めにする。
  • 小園 … 小さな庭。
  • 向 … 「むかう」と読むが、「於」「在」に同じ。「(その場所)で」「(その場所)において」の意。
疎影橫斜水清淺
疎(そ)影(えい) 横斜(おうしゃ)して 水(みず) 清浅(せいせん)
  • 疎影 … (水面に映った)梅の枝のまばらな影。
  • 横斜 … 横に、斜めに影を落とす。
  • 清浅 … 清く浅い小川のほとり。
暗香浮動月黃昏
暗香(あんこう) 浮(ふ)動(どう)して 月(つき) 黄昏(こうこん)
  • 暗香 … どこからともなく漂ってくる花の香り。暗は、目に見えないの意。
  • 浮動 … ふわふわと漂い動くこと。
  • 月黄昏 … 月の光がおぼろげで、ほの暗い様子。黄昏は、通常「夕暮れ時」の意であるが、ここでは月を形容する言葉として解釈した。
霜禽欲下先偸眼
霜禽(そうきん) 下(くだ)らんと欲(ほっ)して 先(ま)ず眼(め)を偸(ぬす)み
  • 霜禽 … 霜を帯びた鳥。または白い鳥。
  • 欲下 … 梅の枝に舞い降りようとして。
  • 偸眼 … 盗み見る。人に気づかれないように、こっそりと見る。
粉蝶如知合斷魂
粉(ふん)蝶(ちょう) 如(も)し知(し)らば 合(まさ)に魂(こん)を断(た)つべし
  • 粉蝶 … 白い蝶。粉は、おしろい。
  • 如知 … もし(この花を)知ったならば。
  • 合 … 「まさに~べし」と読み、「~のはずである」「~に違いない」と訳す。推量の意を示す。再読文字。「当」「応」などに同じ。
  • 断魂 … 魂が消えてしまうような思い。たいへん驚くこと。
幸有微吟可相狎
幸(さいわ)いに微(び)吟(ぎん)の相(あい)狎(な)るべき有(あ)り
  • 幸 … 幸いなことに。
  • 微吟 … 小声で詩を口ずさむこと。
  • 相狎 … (私の声と梅の花とが)打ち解け合う。親しむ。似合う。
不須檀板共金尊
須(もち)いず 檀板(だんばん)と金尊(きんそん)とを
  • 不須 … 必要がない。無用だ。
  • 檀板 … 檀(まゆみ)の木で作った拍子木。
  • 金尊 … 酒樽の美称。金樽。
  • 共金尊 … 「金尊と」と読む。共は、与に同じ。
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