憶昔二首其二(劉基)
憶昔二首其二
憶昔二首 其の二
憶昔二首 其の二
- 〔テキスト〕 『誠意伯劉文成公文集』巻十七(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
- 七言絶句。華・家・沙(平声麻韻)。
- 憶昔 … 「憶う昔」とも読む。昔のことを思いおこせば。唐詩の慣用語。この詩はその昔、揚州に遊んだことを懐古して作ったもの。
- 劉基 … 1311~1375。元末から明初の学者、政治家。青田(浙江省)の人。字は伯温。文成と諡された。出身地にちなんで劉青田とも呼ばれる。至順四年(1333)、進士に及第し、元の地方官となる。のち明の太祖(朱元璋)に仕え、明の建国に力を尽くした。博学で詩文にも優れた。『誠意伯劉文成公文集』二十巻がある。ウィキペディア【劉基】参照。
憶昔揚州看月華
憶う昔 揚州 月華を看る
- 揚州 … 江蘇省の中部、長江(揚子江)の北岸にある都市。長江と大運河との交差点に位置し、水運・商業の中心地として繁栄した。ウィキペディア【揚州市】参照。
- 月華 … 月の光。
- 看 … 見る。眺める。
滿城絃管滿人家
満城の絃管 人家に満つ
- 満城 … 揚州城内全体。
- 絃管 … 弦楽器と管楽器。転じて、音楽。音楽の音。
- 満人家 … どこの家にも聞こえた。どこの家も(音楽の音で)満ち満ちていた。
可憐今夜中秋月
憐れむべし 今夜 中秋の月
- 可憐 … (今昔の)感に堪えない。
- 中秋 … 秋の中頃。陰暦八月十五日のこと。
獨照寒蛩泣細紗
独り照らす 寒蛩の細紗に泣くを
- 独照 … 中秋の名月がただこおろぎだけを照らしている。
- 独 … 「ひとり~」と読み、「ただ~だけ」と訳す。限定の意を示す。
- 寒蛩 … 寂しく鳴くこおろぎ。
- 細紗 … 薄絹をかけた窓辺。
- 紗 … 『誠意伯劉文成公文集』(『四部叢刊 初編集部』所収)等では「沙」に作る。
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