憲問第十四 47 闕黨童子將命章
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闕黨童子將命。或問之曰。益者與。子曰。吾見其居於位也。見其與先生並行也。非求益者也。欲速成者也。
闕黨童子將命。或問之曰。益者與。子曰。吾見其居於位也。見其與先生並行也。非求益者也。欲速成者也。
闕党の童子、命を将う。或ひと之を問いて曰く、益する者か。子曰く、吾其の位に居るを見る。其の先生と並び行くを見る。益を求むる者に非ざるなり。速やかに成らんと欲する者なり。
現代語訳
- 闕(ケツ)村出の少年が取りつぎ役をしている。だれかがそれについてきく。――「よくできる子ですか。」先生 ――「あれは一人まえの席にかけていましたよ。先輩と肩をならべて歩いていたんです。勉強するたちじゃない。はやくおとなになりたいんだ。」(魚返善雄『論語新訳』)
- 闕という村の出身だった一少年が、先師の家で取次役をさせられていた。そこである人が、先師にたずねた。――
「あの少年もよほど学問が上達したと見えますね」
先師はこたえられた。――
「いやそうではありません。私はあの少年がおとなの坐る席に坐っていたのを見ましたし、また先輩と肩をならべて歩くのを見ました。あの少年は学問の上達を求めているのでなく、早くおとなになりたがっているのです。それで実は取次でもやらして、仕込んでみたいと存じまして……」(下村湖人『現代訳論語』)
語釈
- 闕党 … 村の名。「党」は五百戸の村のこと。
- 或 … 「あるひと」と読む。
- 将命 … 命令を受けて来客の取り次ぎをする。
補説
- 将命 … 『義疏』では「将命矣」に作る。
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