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旧悪を念わず

きゅうあくおもわず
  • 出典:『論語』公冶長第五22(ウィキソース「論語/公冶長第五」参照)
  • 解釈:人の昔の悪事をいつまでも根にもたない。「旧悪」は、以前に行った悪事。「念」は、いつまでも根にもつこと。伯夷・叔斉は清廉潔白な人物で悪事を憎んだが、人の昔の悪事はいつまでも根にもつことがなかったので、他人から恨まれることはなかったという。伯夷・叔斉を批評した孔子の言葉。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子曰、伯夷叔齊、不念舊惡。怨是用希。
いわく、はくしゅくせいは、きゅうあくおもわず。うらここもっまれなり。
  • 伯夷・叔斉 … 殷末・周初の賢人兄弟で、殷のちく国の王子。父が弟の叔斉を跡継ぎにしようとしたが、叔斉は兄の伯夷に譲ろうとし、ついに二人とも国を去り、文王を慕って周に行った。しかし、周の武王が殷のちゅう王を討ったことを、不義であると諫言した。さらに周の穀物を食することを拒み、二人とも首陽山に入って餓死した。清潔・正義の人の代表とされる。夷・斉は、ともに諡。伯・叔は、兄弟の序列。上から、伯・仲・叔・季と数える。ウィキペディア【伯夷・叔斉】参照。
  • 旧悪 … 以前に行った悪事。
  • 念 … 「おもう」と読む。いつまでも気にかける。いつまでも記憶にとどめる。いつまでも根にもつ。
  • 怨 … 他人の恨みをかうこと。また自分が怨むことの意も含む。
  • 是用 … 「用」は「以」に同じ。「是以」は「ここをもって」と読み、「このゆえに」「それゆえに」「だから」と訳す。「以是」は「これをもって」と読み、「この点から」「これにより」「これを用いて」と訳す。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「公冶長第五22」参照。
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論語の名言名句