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告朔の餼羊

告朔こくさくよう
  • 出典:『論語』八佾第三17(ウィキソース「論語/八佾第三」参照)
  • 解釈:伝統的な行事や習慣は、形式だけの礼であっても、まったくなくしてしまうよりはよいということの喩え。また、形式だけで実質を伴わないことの喩え。「告朔」は、周代、天子が十二月に翌年十二ヵ月分のこよみを諸侯に分け与え、諸侯はこれを祖廟に収めておき、毎月朔日ついたちに生きた羊をいけにえとして供えて朔日さくじつであることを報告し、その月の暦を受け取って国内に発布する儀式。「餼羊」は、宗廟に供えるいけにえの羊。告朔の儀式が形式化し、ただいけにえの羊を供えるだけになっていたので、子貢が羊を供えることをやめるべきだと言った。孔子は「お前は羊を惜しんでいるが、私はその礼が廃れてしまうことを惜しむ」と言ったという故事から。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子貢欲去告朔之餼羊。子曰、賜也、爾愛其羊。我愛其禮。
こう告朔こくさくようらんとほっす。いわく、や、なんじひつじしむ。われれいしむ。
  • 子貢 … 前520~前446。姓は端木たんぼく、名は。子貢はあざな。衛の人。孔子より三十一歳年少の門人。孔門十哲のひとり。弁舌・外交に優れていた。また、商才もあり、莫大な財産を残した。ウィキペディア【子貢】参照。
  • 欲去 … 「去」は、廃止する。子貢は告朔の礼が形式化し、ただ羊を供えるだけの儀式となっているので、羊を供えることをやめたいと考えた。
  • 賜 … 子貢の名。
  • 爾 … お前。主格・所有格など句のはじめに用いるときは「爾」、目的格として句の終わりに用いるときは「汝」が多い。
  • 愛 … 「おしむ」と読む。惜しむ。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「八佾第三17」参照。
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論語の名言名句