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夫の人の為に慟するに非ずして、誰が為にかせん

ひとためどうするにあらずして、ためにかせん
  • 出典:『論語』先進第十一9(ウィキソース「論語/先進第十一」参照)
  • 解釈:彼のために慟哭どうこくしないで、いったい誰のために慟哭しようというのか。「の人」は、最愛の弟子顔回を指す。顔回の葬儀の帰り道で孔子が語った言葉。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
顏淵死。子哭之慟。從者曰、子慟矣。曰、有慟乎。非夫人之爲慟、而誰爲
顔淵がんえんす。これこくしてどうす。じゅうしゃいわく、どうせりと。いわく、どうするるか。ひとためどうするにあらずして、ためにかせんと。
  • 顔淵 … 前521~前490頃。孔子の第一の弟子、顔回。姓は顔、名は回。あざなえんであるので顔淵とも呼ばれた。の人。徳行第一といわれた。孔子より三十歳年少。早世し孔子を大いに嘆かせた。孔門十哲のひとり。ウィキペディア【顔回】参照。
  • 哭 … 大声をあげて泣く。
  • 慟 … ひどく悲しむ。
  • 従者 … お供をした門人たち。
  • 子慟矣 … 先生は先ほど泣き崩れられましたね。
  • 曰、有慟乎 … 孔子はあまりの悲しみに自分の態度に気づかず、思わず発したことば。そうか。私は慟哭していたかね。
  • 夫人 … 「かのひと」と読む。顔淵を指す。
  • 誰為 … 誰のために慟哭しようか。ほかに慟哭すべき人はない。反語の形。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「先進第十一9」参照。
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論語の名言名句