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奉和同前(崔恵童)

奉和同前
同前(どうぜん)に和(わ)し奉(たてまつ)る
崔恵童(さいけいどう)
  • 七言絶句。囘・杯・開(上平声灰韻)。
  • ウィキソース「宴城東莊 (崔惠童)」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』では「宴城東荘」に作り、「一作崔惠詩、一作崔思詩」と注する。『万首唐人絶句』では「宴城東荘」に作り、作者名を「崔思」とする。『唐詩品彙拾遺』では「奉和宴城東荘」に作り、作者名を「崔惠」とする。
  • 同前 … 前に述べたことと同じであること。同上。ここでは前詩。
  • 奉和 … 身分の高い人の詩に唱和すること。前詩は作者の弟であるので、誤記と思われる。
  • この詩は、長安城の東郊にあった別荘で宴会を開かれ、その席上で詠んだもの。
  • 崔恵童 … 生没年不詳。盛唐の詩人。博州(山東省聊城市)の人。右驍衛将軍・冀州(河北省衡水市冀州区)刺史崔庭玉の子。崔敏童の兄。玄宗の娘の晋国公主の婿となり、駙馬都尉となった。『全唐詩』に一首だけ収める。ウィキペディア【崔惠童】(中文)参照。
一月主人笑幾回
一月(いちげつ) 主人(しゅじん) 笑(わら)うこと幾回(いくかい)ぞ
  • 一月 … 一月(ひとつき)のうちで。
  • 主人 … 別荘の主(あるじ)。別荘の持ち主が崔恵童であるという説があるが、このことばから否定できる。『礼記』曲礼上篇に「客(かく)固辞し、主人客(かく)を粛(しゅく)して入る」(客固辭、主人肅客而入)とある。粛は、ここでは会釈する。ウィキソース「禮記/曲禮上」参照。また、東晋の陶潜「食を乞う」詩(『陶淵明集』巻二)に「主人 余が意を解し、遺(い)贈(ぞう)あり 豈に来(きた)るを虚しくせんや」(主人解余意、遺贈豈虚來)とある。遺贈は、ここでは贈り物(食べ物)の意。ウィキソース「乞食」参照。また、劉宋の鮑照の楽府「東武吟に代う」(『古詩源』巻十一、『文選』巻二十八では「東武吟」、『楽府詩集』巻四十一では「東武吟行」に作る)に「主人且(しばら)く諠(かまびす)しくする勿(なか)れ、賤(せん)子(し)一言(いちごん)を歌わん」(主人且勿諠、賤子歌一言)とある。賤子は、自分のことを遜(へりくだ)っていうことば。ウィキソース「代東武吟」参照。『全唐詩』には「一作人生」と注する。『万首唐人絶句』では「生人」に作る。
  • 笑幾回 … 心から笑うことが何回あるだろうか。『荘子』盗跖篇に「人、上寿は百歳、中寿は八十、下寿は六十。病(びょう)瘦(そう)・死喪・憂患を除きて、其の中(うち)に口を開きて笑う者、一月(いちげつ)の中(うち)、四五(しご)日(じつ)に過ぎざるのみ」(人上壽百歲、中壽八十、下壽六十。除病瘦死喪憂患、其中開口而笑者、一月之中、不過四五日而已矣)とあるのを踏まえる。ウィキソース「莊子/盜跖」参照。
相逢相値且銜杯
相(あい)逢(あ)い相(あい)値(あ)うて且(しばら)く杯(はい)を銜(ふく)まん
  • 相逢相値 … お互いにこうして出会ったのだから。
  • 値 … 思いがけなく出会うこと。『説文解字』巻八上、人部に「値は、措くなり」(値、措也)とあり、徐注に「一に曰く、逢遇するなり」(一曰逢遇)とある。ウィキソース「說文解字/08」「説文解字繫傳 (四部叢刊本)/卷第十五」参照。『全唐詩』では「識」に作り、「一作値」と注する。
  • 且 … 「しばらく」と読み、「ひとまず」「ともかく」と訳す。
  • 銜杯 … 酒杯を口にあてる。転じて酒を飲むこと。銜は、口にくわえる。
眼看春色如流水
眼(ま)のあたり看(み)る 春色(しゅんしょく)流(りゅう)水(すい)の如(ごと)くなるを
  • 眼看 … 目(ま)の当たりに見るのは。初唐の王績の詩「酒家を過ぐ五首」(『全唐詩』巻三十七)の第二首に「眼看〻(みすみす)に人尽(ことごと)く酔う、何ぞ忍んで独り醒むることを為さん」(眼看人盡醉、何忍獨爲醒)とある。ウィキソース「過酒家 (此日長昏飲)」参照。
  • 春色 … 春の景色。春の趣き。南朝斉の謝朓「徐都曹に和す」詩(『文選』巻三十)に「宛洛(えんらく)は遨游(ごうゆう)に佳(よ)く、春色は皇(こう)州(しゅう)に満つ」(宛洛佳遨游、春色滿皇州)とある。宛洛は、宛邑(南陽)と洛陽との二都。遨游は、気ままに遊び楽しむこと。皇州は、帝都の地。ウィキソース「昭明文選/卷30」参照。
  • 如流水 … 流れる水のように過ぎ去ってゆく。
今日殘花昨日開
今日(こんにち)の残(ざん)花(か)は昨日(さくじつ)開(ひら)きし
  • 残花 … 枝に散り残っている花。
  • 殘 … 『全唐詩』には「一作飛」と注する。
  • 昨日開 … 昨日咲いたばかりの花である。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百五十八(排印本、中華書局、1960年)
  • 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
  • 『唐詩品彙拾遺』巻四([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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