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宴城東荘(崔敏童)

宴城東莊
じょうとうそうえん
崔敏童さいびんどう
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻二百五十八、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、60頁)、『唐詩品彙拾遺』巻四、他
  • 七言絶句。春・人・貧(平声真韻)。
  • ウィキソース「宴城東莊 (崔敏童)」参照。
  • 城東 … 長安城の東郊。
  • 荘 … 別荘。
  • 宴 … 宴会を開くこと。
  • この詩は、長安城の東郊にあった別荘で宴会を開かれ、その席上で詠んだもの。
  • 崔敏童 … 生没年不詳。盛唐の詩人。博州(山東省聊城市)の人。右驍衛将軍・冀州(河北省衡水市冀州区)刺史崔庭玉の子。崔恵童の弟。『全唐詩』に一首だけ収める。『唐詩品彙拾遺』では「崔敏重」に作る。
一年始有一年春
一年いちねん はじめて一年いちねんはる
  • 一年始有一年春 … 一年が経てば、またはじめて次の一年の春がやってくる。
  • 一年 … 一年が経てば。
  • 始有 … ~してはじめて…がやってくる。『全唐詩』には「一作又過」とある。『古今詩刪』『唐詩品彙拾遺』では「又過」に作る。『万首唐人絶句』では「過又」に作る。
百歲曾無百歲人
ひゃくさい かつひゃくさいひと
  • 百歳 … 人生百年というが。『荘子』盗跖篇に「人、上寿は百歳、中寿は八十、下寿は六十。びょうそう・死喪・憂患を除きて、其のうちに口を開きて笑う者、一月いちげつうち四五しごじつに過ぎざるのみ」(人上壽百歲、中壽八十、下壽六十。除病瘦死喪憂患、其中開口而笑者、一月之中、不過四五日而已矣)とある。ウィキソース「莊子/盜跖」参照。
  • 曾無百歳人 … かつて百歳まで生きた人はいない。
  • 曾無 … 「かつて~なし」と読み、「決して~でない」と訳す。否定の強調の意を示す。
能向花前幾回醉
ぜんむかって幾回いくかいわん
  • 能 … 「よく」と読み、「できる」と訳す。可能の意を示す。
  • 向花前 … 咲き誇る花の前で。
  • 前 … 『全唐詩』には「一作中」とある。『古今詩刪』では「中」に作る。
  • 向 … 於に同じ。
  • 幾回酔 … 一生に何度酔うことができるだろうか。
  • 回 … 『唐詩選』『万首唐人絶句』『唐詩品彙拾遺』では「囘」に作る。異体字。
十千沽酒莫辭貧
十千じっせん さけうてひんすることかれ
  • 十千 … 千銭の十倍、つまり一万銭のこと。美酒一斗の価とされた。魏の曹植の「名都篇」(『文選』巻二十七)に「かえきたって平楽へいらくえんし、しゅ十千じっせん」(歸來宴平樂、美酒斗十千)とあるのを踏まえる。ウィキソース「昭明文選/卷27」参照。
  • 沽酒 … 酒を買う。沽は、買うと売るの両方の意味がある。
  • 莫辞貧 … 貧乏だからと断ってはいけないよ。お金がないなどと言い訳してはいけないよ。
  • 貧 … 貧乏である。『全唐詩』『唐詩品彙拾遺』には「一作頻」とある。
  • 辞 … 辞退する。『万首唐人絶句』では「辤」に作る。異体字。
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