登楼(羊士諤)
登樓
登楼
登楼
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻三百三十二、『羊士諤集』巻下(『唐五十家詩集』所収)、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、64頁)、『唐詩品彙』巻五十二、『唐人万首絶句選』巻五、他
- 七言絶句。城・聲・情(平声庚韻)。
- ウィキソース「登樓 (羊士諤)」参照。
- 詩題 … 「楼に登る」と読んでもよい。
- 楼 … 高楼。高殿。
- この詩は、高楼に登って秋の物寂しい景色を眺め、故郷への思いを詠んだもの。作者が資州(四川省)の刺史に左遷されていた頃の作と思われる。
- 羊士諤 … 756~?。中唐の詩人。泰山(山東省)の人。貞元元年(785)、進士に及第。順宗のとき、宣州(安徽省)巡官となったが、王叔文に睨まれて、汀州寧化県(福建省寧化県)の尉に左遷された。憲宗の元和初年(807頃)、宰相李吉甫の推薦で監察御史に抜擢されたが、また宰相を批判したため、資州(四川省)の刺史に左遷された。『羊士諤詩集』一巻がある。ウィキペディア【羊士諤】参照。
槐柳蕭疎繞郡城
槐柳 蕭疎として郡城を繞り
- 槐柳 … 槐の木と柳。ともに街路樹としてよく植えられた。ここでは郡の城市の並木を指す。ウィキペディア【エンジュ】参照。
- 蕭疎 … 木の葉などが落ちて物寂しく、まばらな様子。蕭は、物寂しい。疎は、まばら。杜甫の「架を除く」に「束薪已に零落し、瓠葉転た蕭疎たり」(束薪已零落、瓠葉轉蕭疏)とある。束薪は、束ねた柴。瓠葉は、ユウガオの葉。ウィキソース「全唐詩/卷225」参照。
- 疎 … 『唐五十家詩集』『古今詩刪』『唐詩品彙』『唐人万首絶句選』では「踈」に作る。異体字。『全唐詩』では「疏」に作る。同義。『万首唐人絶句』では「䟽」に作る。「䟽」は「疏」の異体字。
- 郡城 … 郡の役所のある町。ここでは資陽の町を指す。
- 繞 … 取り巻いている。『全唐詩』『唐五十家詩集』では「遶」に作る。同義。
夜添山雨作江聲
夜は山雨を添えて江声を作す
- 添山雨 … 山中に降った夜来の雨を加えて。
- 作江声 … 川の水の流れる音がひとしお大きく聞こえる。
秋風南陌無車馬
秋風 南陌 車馬無し
- 南陌 … 南の街道。陌は、街道。ここでは郡城の南に通ずる街道をいう。
- 無車馬 … 行き交う車馬も見えない。
獨上高樓故國情
独り高楼に上る 故国の情
- 故国情 … 故郷への思い。故国は、故郷と同じ。
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