>   漢詩   >   唐詩選   >   巻六 五絶   >   伊州歌二首 其一(無名氏)

伊州歌二首 其一(無名氏)

伊州歌二首 其一
しゅうしゅ いち
めい
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻六、『全唐詩』巻二十七、『楽府詩集』巻七十九、『万首唐人絶句』巻三(内閣文庫蔵)、『万首唐人絶句』巻二十(『四庫全書 集部』所収)、『唐人万首絶句選』巻一、他
  • 五言絶句。兵・營(平声庚韻)。
  • ウィキソース「樂府詩集/079卷」参照。
  • 詩題 … 『楽府詩集』では「伊州歌五首 第三」に作る。内閣文庫蔵の『万首唐人絶句』では蓋嘉運の作とし、「編入楽府詞十四首 其七」に作る。四庫全書所収の『万首唐人絶句』でも蓋嘉運の作とし、「伊川歌五首 其一」に作る。『唐人万首絶句選』でも蓋嘉運の作とし、「伊州歌」に作る。
  • 伊州歌 … 楽府題。伊州は、現在の新疆ウイグル自治区クムル市(哈密ハミ市)一帯を指す。『唐詩集註』蒋一葵の注に「伊州伊吾郡は隴右道に属す。貞観の初め、伊吾城主、七城を挙げて来降す。因りて其の地を列して伊西州と為し、黄花戍を置く」(伊州伊吾郡屬隴右道。貞觀初、伊吾城主舉七城來降。因列其地爲伊西州置黃花戍)とある。『唐詩集註』巻六(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。ウィキペディア【クムル市】参照。
  • この詩は、出征した夫を思う妻の嘆きを詠んだもの。沈佺期の「雑詩」と題する五言律詩(『唐詩三百首』所収、『全唐詩』巻九十六では「雑詩三首 其三」)の前半四句とほぼ同じ。ウィキソース「雜詩 (沈佺期)」参照。
聞道黃花戍
らく こうじゅ
  • 聞道 … 「きくならく」と読み、「聞くところによれば」「聞けば」と訳す。「聞説」とも書く。
  • 黄花戍 … 伊州の近くにあった要塞では。「戍」は、守備兵の陣屋。
  • 花戍 … 『全唐詩』(巻九十六、沈佺期「雑詩三首」)では「龍戍」に作り、「一作花塞」とある。
頻年不解兵
頻年ひんねん へいかずと
  • 頻年 … 毎年ひき続いて。何年もの間。連年。
  • 不 … 『唐人万首絶句選』では「未」に作る。
  • 不解兵 … 兵備を解かないままとか。兵隊を撤収させないで駐屯させたままとか。
可憐閨裏月
あわれむし けいつき
  • 可憐 … ああ。哀れにも。
  • 閨裏月 … 私のねやにさし込む月は。「閨」は、女性の私室。「裏」は、中。
偏照漢家營
ひとえにらす かんえい
  • 偏 … ただいちずに。ひたすら。じっと。
  • 偏照 … 『全唐詩』(巻九十六、沈佺期「雑詩三首」)では「長在」に作る。
  • 漢家営 … 漢の王朝の陣営(を照らしているのか)。「漢家」は、実際は唐の王朝を指す。「営」は、軍営。陣営。夫のいるところを指す。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行