題竹林寺(朱放)
題竹林寺
竹林寺に題す
竹林寺に題す
- ウィキソース「題竹林寺 (朱放)」参照。
- この詩は、作者が竹林寺という寺に遊び、その景勝を称賛して詩を作り、寺の壁に書きつけたもの。
- 竹林寺 … 湖北省江陵にある竹林寺なのか、江西省廬山にある竹林寺なのかはっきりしないが、作者が江西節度参謀だったので廬山の方の可能性が高い。
- 竹 … 『全唐詩』には「一作鶴」と注する。『文苑英華』には「集作鶴」と注する。
- 題 … 詩を作って、壁などに書きつけること。
- 朱放 … 生没年不詳。中唐の詩人。字は長通。襄陽(湖北省襄陽市)の人。はじめは漢水のほとりに住んでいたが、飢饉に遭ったため、越の剡渓(浙江省)に移住して隠者の生活を送った。建中三年(782)、唐の宗室の子孫である嗣曹王李皋が江西節度使(江西省南昌市)になったとき、招かれて参謀となったが、まもなく辞職した。貞元二年(786)、左拾遺に召されたが、辞退して任に就かなかったという。ウィキペディア【朱放】参照。
歳月人閒促
歳月 人間に促り
- 歳月 … 年月。時の流れ。「古詩十九首」(『文選』巻二十九)の第一首に「君を思えば人をして老いしむ、歳月 忽ち已に晩れぬ」(思君令人老、歳月忽已晩)とある。ウィキソース「行行重行行」参照。
- 人間 … 「じんかん」と読む。人が住む世。世間。俗世間。『史記』留侯世家に「願わくは人間の事を棄て、赤松子に従いて游ばんと欲するのみ」(願棄人間事、欲從赤松子游耳)とある。赤松子は、仙人の号。ウィキソース「史記/卷055」参照。また『韓非子』解老篇に「狂ならば則ち人間法令の禍を免るること能わず」(狂則不能免人間法令之禍)とある。ウィキソース「韓非子/解老」参照。また、盛唐の李白「山中問答」に「桃花流水窅然として去る、別に天地の人間に非ざる有り」(桃花流水窅然去、別有天地非人間)とある。ウィキソース「山中問荅」参照。
- 促 … せき立てるように過ぎてゆくこと。慌ただしく短いこと。
烟霞此地多
烟霞 此の地に多し
- 烟霞 … 靄や霞。霞は、ここでは、朝焼けや夕焼けを指す。北周の庾信「枯樹の賦」(『庾子山集』巻一)に「草樹を紛披せしめ、烟霞を散乱せしむ」(紛披草樹、散亂烟霞)とある。紛披は、乱れて繁り合うさま。ウィキソース「枯樹賦」参照。また、隋の胡師耽「終南山に登る 擬古」詩(『古詩紀』巻一百三十七)に「煙霞 鳥道を乱し、劣かに長安城を見る」(煙霞亂鳥道、劣見長安城)とある。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷137」参照。
- 此地多 … この地では(靄や霞のたゆたう)よい景色が多い。
殷勤竹林寺
殷勤にす 竹林寺
- 殷勤 … ねんごろで丁寧なこと。真心を込めること。慇懃に同じ。ここでは、ねんごろに竹林寺の幽寂さを観賞すること。司馬遷「任少卿に報ずるの書」(『文選』巻四十一)に「趣舎路を異にし、未だ嘗て盃酒を銜み、殷勤の余懽に接せず」(趣舍異路、未嘗銜盃酒、接殷勤之餘懽)とある。趣舎は、進むことと、止まること。余懽は、微かな懽び。余歓。ウィキソース「報任少卿書」参照。また、三国魏の王粲「雑詩四首」(『古詩紀』巻二十五)の第三首に「願わくは春陽の会に及び、頸を交えて遘うて殷勤にす」(願及春陽會、交頸遘殷勤)とある。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷025」参照。また、劉宋の謝霊運「道路にて山中を憶う」詩(『文選』巻二十六)に「殷勤にして危柱に訴え、慷慨して促管に命ず」(殷勤訴危柱、慷慨命促管)とある。危柱は、高くした琴柱。琴の音が高いことを指す。慷慨は、感情が高まって嘆くこと。促管は、速い調子の笛の音。ウィキソース「昭明文選/卷26」参照。
更得幾囘過
更に幾回か過ぎることを得ん
- 更 … 今後さらに。『全唐詩』では「能」に作り、「一作更」と注する。『文苑英華』では「能」に作り、「集作更」と注する。『万首唐人絶句』では「能」に作る。
- 幾回 … 幾たび。何回。何度。
- 過 … 立ち寄る。訪れる。『史記』田叔伝に「会〻賢大夫少府趙禹来りて衛将軍に過ぎる」(會賢大夫少府趙禹來過衞將軍)とある。ウィキソース「史記/卷104」参照。
詩型・韻字
- 五言絶句。
- 多・過(下平声歌韻)。
テキスト
- 『箋註唐詩選』巻六(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
- 『全唐詩』巻三百十五(排印本、中華書局、1960年)
- 『唐詩解』巻二十三(順治十六年刊、内閣文庫蔵)
- 『唐詩品彙』巻四十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
- 『唐詩別裁集』巻十九([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
- 『万首唐人絶句』五言・巻二十五(明嘉靖本影印、文学古籍刊行社、1955年)
- 『文苑英華』巻二百三十六(影印本、中華書局、1966年)
- 『古今詩刪』巻二十(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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