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九日藍田崔氏荘(杜甫)

九日藍田崔氏荘
九(きゅう)日(じつ)、藍田(らんでん)の崔(さい)氏(し)の荘(そう)にて
杜甫(とほ)
  • 七言律詩。寬・歡・冠・寒・看(上平声寒韻)。
  • ウィキソース「九日藍田崔氏莊」参照。
  • 九日 … 陰暦九月九日、重陽の節句。
  • 藍田 … 地名。長安の東南、終南山の麓にある形勝の地。『元和郡県図志』関内道一、京兆府、藍田県の条に「本(も)と秦の孝公置く。周礼(しゅらい)を按ずるに、玉の美なる者を球と曰い、其の次を藍と為す。蓋し県を以て美玉を出だす。故に藍田と曰う」(本秦孝公置。按周禮、玉之美者曰球、其次爲藍。蓋以縣出美玉。故曰藍田)とある。ウィキソース「元和郡縣圖志/卷01」参照。
  • 崔氏 … 人物については不詳であるが、母方の親戚と思われる。
  • 荘 … 別荘。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。河南府鞏(きょう)県(河南省鄭(てい)州(しゅう)市鞏(きょう)義(ぎ)市)生まれ。本籍は襄(じょう)州襄(じょう)陽(よう)県(湖北省襄陽市襄州区)の人。字(あざな)は子美(しび)。祖父は初唐の詩人、杜審言。若い頃、科挙を受験したが及第できず、各地を放浪して李白らと親交を結んだ。安史の乱では賊軍に捕らえられたが、やがて脱出し、新帝粛(しゅく)宗(そう)のもとで左拾遺(天子に諫言する職)に任じられた。その翌年左遷されたため官を捨てた。四十八歳の時、成都(四川省成都市)の近くの浣(かん)花(か)渓(けい)に草堂を建てて四年ほど過ごしたが、再び各地を転々とし一生を終えた。中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜(りと)」と並称される。『杜工部集』『草堂詩箋』などがある。ウィキペディア【杜甫】参照。
老去悲秋強自寬
老(お)い去(さ)って悲(ひ)秋(しゅう) 強(し)いて自(みずか)ら寛(ゆる)うす
  • 老去 … だんだん年をとっていくこと。
  • 悲秋 … もの悲しい秋。
  • 寛 … 気持ちをひろく持つこと。
興來今日盡君歡
興(きょう)来(きた)って今日(こんにち) 君(きみ)が歓(かん)を尽(つく)す
  • 興来 … 興のわくままに。
  • 今 … 『全唐詩』には「一作終」と注する。
  • 尽君歓 … あなたのもてなしを十分に受け尽くす。
羞將短髮還吹帽
羞(は)づらくは短髪(たんぱつ)を将(も)て還(ま)た帽(ぼう)を吹(ふ)かるるを
  • 羞 … 恥ずかしい。
  • 短髪 … 年をとって短く薄くなった髪の毛。
  • 将 … 以に同じ。
  • 吹帽 … 風に帽子を吹き飛ばされる。晋の孟(もう)嘉(か)が帽子を吹き飛ばされ、桓温(かんおん)が人に文章を作らせてからかったが、孟嘉は平然と名文をもってそれに答えたという『晋書(しんじょ)』に見える故事を踏まえる。
笑倩旁人爲正冠
笑(わら)って旁人(ぼうじん)に倩(たの)みて為(ため)に冠(かんむり)を正(ただ)さしむ
  • 旁人 … 隣りの人。
  • 倩 … 人の手を借りること。
藍水遠從千澗落
藍水(らんすい)は遠(とお)く千澗(せんかん)より落(お)ち
  • 藍水 … 藍田の附近を流れる川の名。
  • 千澗 … 多くの谷間。
玉山高竝兩峯寒
玉(ぎょく)山(ざん)は高(たか)く両(りょう)峰(ほう)と並(なら)べて寒(さむ)し
  • 玉山 … 藍田山。
  • 並両峰 … 玉山を真ん中にはさんで二つの峰を並べる。
明年此會知誰健
明(みょう)年(ねん) 此(こ)の会(かい) 知(し)る 誰(たれ)か健(けん)ならん
  • 此会 … この宴会。
  • 健 … 健在でいる。『全唐詩』には「一作在」と注する。
醉把茱萸子細看
酔(よ)うて茱(しゅ)萸(ゆ)を把(と)って子(し)細(さい)に看(み)る
  • 酔 … 『全唐詩』には「一作再」と注する。
  • 茱萸 … 呉(ご)茱(しゅ)萸(ゆ)。和名カワハジカミ。重陽の節句に、丘に登るとき、髪に茱萸の実を刺して厄除けのしるしとする風習があったという。
  • 把 … 手に持つ。
  • 子細看 … しげしげと見ること。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百二十四(排印本、中華書局、1960年)
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