万歳楼(王昌齢)
萬歳樓
万歳楼
万歳楼
- 七言律詩。樓・秋・流・洲・愁(平声尤韻)。
- 『全唐詩』巻142所収。ウィキソース【萬歳樓】参照。
- 万歳楼 … 潤州(今の江蘇省鎮江)の西南隅にあり、晋の刺史王恭が建てたものといわれている。
- 王昌齢 … 698~755。盛唐の詩人。京兆(陝西省西安市)の人。字は少伯。開元十五年(727)、進士に及第。秘書省の校書郎に任ぜられたが、素行が悪かったため、竜標(湖南省黔陽)の尉に左遷された。のちに安禄山の乱が起こったので故郷に逃げ帰ったが、刺史の閭丘暁に殺されたという。李白とともに七言絶句の名手として有名。また、高適・岑参とともに辺塞詩人のひとりに数えられる。『王昌齢詩集』がある。ウィキペディア【王昌齢】参照。
江上巍巍萬歳樓
江上巍巍たり 万歳楼
- 江上 … 揚子江のほとり。
- 巍巍 … 高くそびえる形容。
不知經歴幾千秋
知らず 幾千秋を経歴せし
- 幾千秋 … 幾千年。
- 経歴 … 経過すること。
年年喜見山長在
年年喜んで見る 山の長しなえに在るを
- 長 … 「常」に同じ。「長しえ」とも読む。
日日悲看水獨流
日日悲しんで看る 水の独り流るるを
- 水 … 揚子江の水。
猿狖何曾離暮嶺
猿狖何ぞ曾て暮嶺を離れん
- 猿狖 … 猿のこと。「狖」は尾長ざるのこと。
- 暮嶺 … 日暮れの嶺。
鸕鷀空自泛寒洲
鸕鷀空しく自ずから寒洲に泛ぶ
- 鸕鷀 … 鵜のこと。「鷀」は「鶿」の異体字。
- 寒洲 … 寒々と草枯れた中洲のあたり。
誰堪登望雲烟裏
誰か堪えん 登望 雲煙の裏
- 登望 … 楼に登って眺めること。
- 雲煙 … 雲とかすみ。「烟」は「煙」の異体字。
向晩茫茫發旅愁
晩に向って茫茫 旅愁を発す
- 向晩 … 夜に近づくこと。
- 茫茫 … 辺りが薄暗くなってきたこと。
- 旅愁 … 旅先で感じるものさびしい思い。
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