五日観妓(万楚)
五日觀妓
五日、妓を観る
五日、妓を観る
- 七言律詩。紗・華・花・斜・家(平声麻韻)。
- 五日 … 五月五日、端午の節句。
- 観妓 … 妓女の歌舞を見る。この詩は、この様子を詠じている。
- 万楚 … 生没年不詳。盛唐の詩人。開元の進士。
西施謾道浣春紗
西施 謾に道う 春紗を浣うと
- 西施 … 春秋時代の越の美女。ウィキペディア【西施】参照。
- 謾道 … いいかげんなことを言う。「謾」は「漫」に同じ。「道」はいう。
- 浣春紗 … 春のうすぎぬを洗う。「紗」はうすぎぬ。西施ははじめ紗を織って谷川で洗っていた田舎娘であったという。
碧玉今時鬭麗華
碧玉 今時 麗華を闘わす
- 碧玉 … 美女をいう。
- 麗華 … 美人の容色のあでやかな様子。
- 闘 … 競う。
眉黛奪將萱草色
眉黛奪将す 萱草の色
- 眉黛 … まゆずみ。
- 奪将 … 奪い取る。「将」は動詞のあとにつける助字。
- 萱草 … わすれぐさ。
紅裙妬殺石榴花
紅裙妬殺す 石榴の花
- 紅裙 … 赤い裳裾。
- 妬殺 … ひどくねたむ。「殺」は動詞のあとにつける助字。
- 石榴 … ざくろ。
新歌一曲令人豔
新歌一曲 人をして豔ましめ
- 新歌 … 新しい流行歌。
- 豔 … 羨慕させる。
醉舞雙眸斂鬢斜
酔舞双眸 鬢の斜めなるを斂む
- 酔舞 … 酔って舞う。
- 双眸 … 両方のひとみ。
- 斂鬢斜 … ここでは乱れた髪をなでつけて直すこと。
誰道五絲能續命
誰か道う 五糸能く命を続ぐと
- 誰道 … いったい誰が言い出したことか。
- 五糸 … 五月五日に五色の糸をひじに結ぶと寿命が延びるといい、これを「続命縷」と呼んだ。
卻令今日死君家
却って今日君が家に死せしむ
- 君家 … 妓女の家。
- 死 … 死のうとまで思いつめる。
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