在廣聞崔馬二御史竝登相臺(蘇味道)
在廣聞崔馬二御史竝登相臺
広に在りて崔・馬二御史の並びに相台に登るを聞く
広に在りて崔・馬二御史の並びに相台に登るを聞く
- 五言排律。聞・雲・分・薰・群・文(平声文韻)。
- 『全唐詩』巻65所収。ウィキソース「使嶺南聞崔馬二御史竝拜臺郎」参照。
- 在廣聞崔馬二御史竝登相臺 … 『全唐詩』では「使嶺南(一作在廣州)聞崔馬二御史並拜臺郎」に作る。「嶺南」は広東省と広西チワン族自治区地方を指す。「臺郎」は尚書省の幹部級にあたる郎中の職。
- 広 … 嶺南広州。
- 崔・馬 … 二人とも人物については不明。
- 御史 … 官名。検察官。
- 相台 … 尚書省を中台、門下省を東台、中書省を西台とし、三省を合わせて相台と呼んだ。
- 蘇味道 … 648?~705?。初唐の詩人。趙州欒城(河北省)の人。李嶠とともに「蘇李」といわれた。また、李嶠・崔融・杜審言とともに「文章四友」と呼ばれる。ウィキペディア【蘇味道】参照。
振鷺纔飛日
振鷺 纔めて飛ぶ日
- 振鷺 … 群れ飛ぶ鷺。『詩経』周頌、振鷺の詩に「振鷺于に飛ぶ」(振鷺于飛)とあるのに基づく。
- 纔 … はじめて~したばかり。『全唐詩』では「齊」に作り、「一作纔」とある。
遷鶯遠聽聞
遷鶯 遠く聴聞す
- 遷鶯 … 鶯が谷間から出て高い木に移ること。『詩経』小雅、伐木の詩に「木を伐ること丁丁たり、鳥鳴くこと嚶嚶たり、幽谷より出でて、喬木に遷る」(伐木丁丁、鳥鳴嚶嚶、出自幽谷、遷于喬木)とあるのに基づく。崔・馬の二人が御史から郎中に昇進したことのたとえ。
明光共待漏
明光 共に漏を待ち
- 明光 … 漢代の宮殿の名。明光殿。
- 待漏 … 参内の時刻を待つこと。「漏」は水時計。
清覽各披雲
清覧 各〻雲を披く
- 清覧 … 二人の清らかな容姿。一説には天子が二人を見ることという。
- 覧 … 『全唐詩』では「鑒」に作り、「一作覽」とある。
- 披雲 … 雲をひらく。晋の楽広が尚書郎になったとき、衞瓘が楽広を評して「雲霧を披いて青天を覩るが若し」(若披雲霧覩青天)と言ったという『世説新語』賞誉篇にある故事に基づく。
喜得廊廟擧
廊廟の挙を得たるを喜び
- 廊廟 … 朝廷。
- 挙 … 推挙。
嗟爲臺閣分
台閣の分を為すを嗟く
- 台閣 … 朝廷の官署の総称。
- 為分 … 勤務している官署が分かれたこと。
故林懷柏悅
故林 柏悦を懐い
- 故林 … かつていた林。二人がもと勤務していた役所を指す。
- 柏悦 … 柏の木が茂ること。
- 悦 … 『全唐詩』には「一作梓」とある。
新握阻蘭薰
新握 蘭薫を阻む
- 新握 … 新しいカーテン。ここでは二人の転任先の部屋をいう。
- 握 … 『全唐詩』では「幄」に作り、「一作握」とある。
- 蘭薫 … 蘭の香り。蘭台とも呼ばれる今まで勤務していた御史の役所を指す。
冠去神羊影
冠は去る 神羊の影
- 神羊 … 獬豸ともいう。一本の角があり、不正の人を見れば攻撃するという想像上の神獣。御史の冠はこれをかたどった。
車迎瑞雉羣
車は迎う 瑞雉の群
- 迎 … 『全唐詩』には「一作連」とある。
- 瑞雉 … めでたい雉。親孝行で知られた漢の蕭芝が尚書郎に任命されたとき、数十羽の雉が毎日彼の出勤を見送り、また退庁も出迎えたという『蒙求』「36蕭芝雉隨」に見える故事に基づく。
遠從南斗外
遠く南斗の外より
- 遠従 … 『全唐詩』には「一作獨憐」とある。
- 南斗外 … 南斗星のさらに彼方。嶺南の地を指す。
遙望列星文
遥かに列星の文を望む
- 遥 … 『全唐詩』には「一作空」とある。
- 望 … 『全唐詩』では「仰」に作る。
- 列星文 … 帝座を示す北極星をめぐってつらなる星の輝き。崔・馬の二人を指す。
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