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船下夔州郭宿雨湿不得上岸別王十二判官(杜甫)

船下夔州郭宿雨濕不得上岸別王十二判官
ふねにて夔州きしゅうかくくだりて宿しゅくす、あめ湿うるおいてきしのぼるをず、王十二おうじゅうに判官はんがんわか
杜甫とほ
  • 五言律詩。娟・懸・煙・賢(平声先韻)。
  • 夔州 … 現在の四川省奉節県。
  • 郭 … 城郭の外。郭外。
  • 王十二 … 不詳。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。じょうよう(湖北省)の人。あざな子美しび。祖父は初唐の詩人、杜審言。若い頃、科挙を受験したが及第できず、各地を放浪して李白らと親交を結んだ。安史の乱では賊軍に捕らえられたが、やがて脱出し、新帝しゅくそうのもとで左拾遺に任じられた。その翌年左遷されたため官を捨てた。四十八歳の時、成都(四川省成都市)の近くのかんけいに草堂を建てて四年ほど過ごしたが、再び各地を転々とし一生を終えた。中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜りと」と並称される。『杜工部集』がある。ウィキペディア【杜甫】参照。
依沙宿舸船
すなりて舸船かせん宿しゅく
  • 沙 … 砂浜。
  • 舸船 … 本来は「大きなふね」の意だが、ここではたんに「舟」の意。
石瀨月娟娟
石瀬せきらい つき 娟娟けんけんたり
  • 石瀬 … 石の多い浅瀬。
  • 娟娟 … 月の光が美しいさま。
風起春燈亂
かぜおこりて春灯しゅんとうみだ
  • 春灯 … 春の夜のともしび。ここでは舟につるしてあるともしび。
江鳴夜雨懸
こうりて夜雨やうかか
  • 懸 … 降りそそぐこと。
晨鐘雲外濕
晨鐘しんしょう 雲外うんがい湿うるお
  • 晨鐘 … 夜明けを知らせる鐘。
  • 雲外 … 雲のかなた。はるかな遠い所のこと。
  • 外 … 『全唐詩』には「一作岸」とある。
  • 湿 … 鐘の音が雨で湿りを帯びているようす。
勝地石堂煙
勝地しょうち 石堂せきどうけむ
  • 勝地 … 景色のよい土地。
  • 石堂 … 夔州にあった景勝の地と思われる。
  • 煙 … 『全唐詩』には「一作偏」とある。底本(漢文大系本)では「偏」に作るが『全唐詩』に従い改めた。
柔艣輕鷗外
柔艣じゅうろ 軽鷗けいおうそと
  • 柔艣 … 軽櫓。または静かに櫓をこぐこと。艣は櫓に同じ。
  • 軽鷗 … 軽く水面に浮かぶ鷗。
含悽覺汝賢
せいふくんでなんじけんなるをおぼ
  • 含悽 … 悲しみを心にいだく。
  • 悽 … 『全唐詩』には「一作情」とある。
  • 汝賢 … 汝は王判官を指す。賢は賢明さ。『書経』大禹謨篇に「まことこうすは、なんじけんなり。くにつとめ、いえけんにして、みずかまんせざるは、なんじけんなり」(成允成功、惟汝賢。克勤于邦、克儉于家、不自滿假、惟汝賢)とある。ウィキソース「尚書/大禹謨」参照。
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