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禹廟(杜甫)

禹廟
禹(う)廟(びょう)
杜甫(とほ)
  • 五言律詩。斜・蛇・沙・巴(下平声麻韻)。
  • ウィキソース「全唐詩/卷229」参照。
  • 禹廟 … 夏(か)の禹王を祭った御(み)霊(たま)屋(や)。『全唐詩』には、題下に「此れは忠州臨江県の禹の祠(ほこら)なり」(此忠州臨江縣禹祠也)と注する。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。河南府鞏(きょう)県(河南省鄭(てい)州(しゅう)市鞏(きょう)義(ぎ)市)生まれ。本籍は襄(じょう)州襄(じょう)陽(よう)県(湖北省襄陽市襄州区)の人。字(あざな)は子美(しび)。祖父は初唐の詩人、杜審言。若い頃、科挙を受験したが及第できず、各地を放浪して李白らと親交を結んだ。安史の乱では賊軍に捕らえられたが、やがて脱出し、新帝粛(しゅく)宗(そう)のもとで左拾遺(天子に諫言する職)に任じられた。その翌年左遷されたため官を捨てた。四十八歳の時、成都(四川省成都市)の近くの浣(かん)花(か)渓(けい)に草堂を建てて四年ほど過ごしたが、再び各地を転々とし一生を終えた。中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜(りと)」と並称される。『杜工部集』『草堂詩箋』などがある。ウィキペディア【杜甫】参照。
禹廟空山裏
禹(う)廟(びょう) 空山(くうざん)の裏(うち)
  • 人気(ひとけ)のないさびしい山。
秋風落日斜
秋(しゅう)風(ふう) 落日(らくじつ)斜(なな)めなり
荒庭垂橘柚
荒庭(こうてい) 橘柚(きつゆう)垂(た)れ
  • 荒庭 … 荒れた庭。
  • 橘柚 … タチバナとユズ。ここではミカン類の総称。江南の特産。『書経』禹貢篇に「厥(そ)の包(ほう)は橘・柚なり」(厥包橘柚)とあり、伝に「小を橘と曰い、大を柚と曰う」(小曰橘、大曰柚)とある。ウィキソース「尚書注疏 (四庫全書本)/卷05」参照。
古屋畫龍蛇
古(こ)屋(おく) 竜(りゅう)蛇(だ)を画(えが)く
  • 古屋 … 古い廟の壁。
  • 竜蛇 … 竜と蛇。
雲氣生虛壁
雲(うん)気(き) 虚壁(きょへき)に生(しょう)じ
  • 雲気 … 雲のこと。
  • 生虚 … 『全唐詩』には「一作噓清」と注する。
  • 虚壁 … 木も何もない絶壁。
江聲走白沙
江声(こうせい) 白(はく)沙(さ)に走(はし)る
  • 江声 … 揚子江の水の流れる音。
  • 白沙 … 白い砂浜。
早知乘四載
早(はや)く四(し)載(さい)に乗(の)るを知(し)り
  • 四載 … 禹王が用いた四つの乗り物。
疏鑿控三巴
疏(そ)鑿(さく)して三(さん)巴(ぱ)より控(ひ)く
  • 疏鑿 … 山を切り開いて水を通すこと。疏は通す。鑿は物に穴をあける。『全唐詩』には「一作流落」と注する。
  • 控三巴 … 三巴の地方から水を引く。三巴は巴郡・巴東郡・巴西郡があった地域。今の四川省東部にあたる。控は引く。ここでは水を引く。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻三(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百二十九(排印本、中華書局、1960年)
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