>   漢詩   >   唐詩選   >   巻三 五律   >   幸蜀西至剣門(玄宗皇帝)

幸蜀西至剣門(玄宗皇帝)

幸蜀西至剣門
しょくみゆきして西にしのかた剣門けんもんいた
玄宗げんそう皇帝
  • 五言律詩。回・開・來・才(平声灰韻)。
  • 剣門 … 四川省北部にある山の名。剣閣があり、昔から要害の地とされた。
劍閣橫雲峻
剣閣けんかく くもよこたわりてけわしく
  • 剣閣 … 今の四川省剣閣県の東北、大剣山と小剣山の二つの山の要害。閣道かくどう(桟道)が架けられていることから。『水経注』漾水の条に「西、大剣を去ること三十里。連山絶険にして、飛閣つうす。故に之を剣閣と謂うなり」(西去大劒三十里。連山絶險、飛閣通衢。故謂之劒閣也)とある。ウィキソース「水經注/20」参照。また張載「剣閣の銘」(『文選』巻五十六)に「巌巌がんがんたるりょうざん積石せきせき峨峨ががたり。……しょくもんかためをしずめをす。これ剣閣けんかくい、へきりゅう千仞せんじんなり。けわしさをきわめ、みちけわしさをきわむ。……一人いちにんげきになえば、ばんしょす。けいしょうしんあらざればらしむるかれ」(巖巖梁山、積石峨峨。……惟蜀之門、作固作鎭。是曰劍閣、壁立千仞。窮地之險、極路之峻。……一人荷戟、萬夫趑趄。形勝之地、匪親勿居)とある。趑趄は、支えて止まること。突破できないこと。ウィキソース「劍閣銘」参照。
鑾輿出狩回
鑾輿らんよ 出狩しゅつしゅしてかえ
  • 鑾輿 … 天子の乗る車。
  • 出狩 … 天子が地方を巡幸すること。
翠屛千仞合
翠屏すいへい 千仞せんじんがっ
  • 翠屏 … みどり色の屏風。崖をたとえていう。
  • 千仭 … 一仞(八尺)の千倍。非常に高いこと。
丹嶂五丁開
丹嶂たんしょう 五丁ごていひら
  • 丹嶂 … 赤い地肌をむき出した峰。丹は赤色。
  • 五丁 … 五人の壮士。
灌木縈旗轉
灌木かんぼく はためぐりててん
  • 灌木 … 群がりはえる木。叢木。
仙雲拂馬來
仙雲せんうん うまはらいてきた
  • 仙雲 … めでたい雲。仙人が乗るという雲。
乘時方在德
ときじょうずるはまさとく
嗟爾勒銘才
ああ なんじ 勒銘ろくめいさい
  • 嗟 … ああ、と嘆じることば。
  • 勒銘 … 彫刻した銘文。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行