幸蜀西至剣門(玄宗皇帝)
幸蜀西至剣門
蜀に幸して西のかた剣門に至る
蜀に幸して西のかた剣門に至る
- 五言律詩。回・開・來・才(平声灰韻)。
- 剣門 … 四川省北部にある山の名。剣閣があり、昔から要害の地とされた。
劍閣橫雲峻
剣閣 雲に横たわりて峻しく
- 剣閣 … 今の四川省剣閣県の東北、大剣山と小剣山の二つの山の要害。閣道(桟道)が架けられていることから。『水経注』漾水の条に「西、大剣を去ること三十里。連山絶険にして、飛閣通衢す。故に之を剣閣と謂うなり」(西去大劒三十里。連山絶險、飛閣通衢。故謂之劒閣也)とある。ウィキソース「水經注/20」参照。また張載「剣閣の銘」(『文選』巻五十六)に「巌巌たる梁山、積石は峨峨たり。……惟れ蜀の門、固めを作し鎮めを作す。是を剣閣と曰い、壁立千仞なり。地の険しさを窮め、路の峻しさを極む。……一人戟を荷えば、万夫も趑趄す。形勝の地、親に匪ざれば居らしむる勿かれ」(巖巖梁山、積石峨峨。……惟蜀之門、作固作鎭。是曰劍閣、壁立千仞。窮地之險、極路之峻。……一人荷戟、萬夫趑趄。形勝之地、匪親勿居)とある。趑趄は、支えて止まること。突破できないこと。ウィキソース「劍閣銘」参照。
鑾輿出狩回
鑾輿 出狩して回る
- 鑾輿 … 天子の乗る車。
- 出狩 … 天子が地方を巡幸すること。
翠屛千仞合
翠屏 千仞合し
- 翠屏 … みどり色の屏風。崖をたとえていう。
- 千仭 … 一仞(八尺)の千倍。非常に高いこと。
丹嶂五丁開
丹嶂 五丁開く
- 丹嶂 … 赤い地肌をむき出した峰。丹は赤色。
- 五丁 … 五人の壮士。
灌木縈旗轉
灌木 旗を縈りて転じ
- 灌木 … 群がりはえる木。叢木。
仙雲拂馬來
仙雲 馬を払いて来る
- 仙雲 … めでたい雲。仙人が乗るという雲。
乘時方在德
時に乗ずるは方に徳に在り
嗟爾勒銘才
嗟 爾 勒銘の才
- 嗟 … ああ、と嘆じることば。
- 勒銘 … 彫刻した銘文。
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