玉華宮(杜甫)
玉華宮
玉華宮
玉華宮
- 五言古詩。瓦・下・瀉・灑・假・馬・把・者(上声馬韻)。
- 玉華宮 … 『全唐詩』には題下に「貞觀二十一年、作玉華宮、後改為寺、在宜君縣北鳳皇谷。」とある。
- 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。襄陽(湖北省)の人。字は子美。祖父は初唐の詩人、杜審言。若い頃、科挙を受験したが及第できず、各地を放浪して李白らと親交を結んだ。安史の乱では賊軍に捕らえられたが、やがて脱出し、新帝粛宗のもとで左拾遺に任じられた。その翌年左遷されたため官を捨てた。四十八歳の時、成都(四川省成都市)の近くの浣花渓に草堂を建てて四年ほど過ごしたが、再び各地を転々とし一生を終えた。中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜」と並称される。『杜工部集』がある。ウィキペディア【杜甫】参照。
溪囘松風長
渓回りて松風長く
- 囘 … 『全唐詩』には「一作迥」とある。
蒼鼠竄古瓦
蒼鼠 古瓦に竄る
- 蒼鼠 … 老いたねずみ。
不知何王殿
知らず 何王の殿ぞ
遺構絶壁下
遺構 絶壁の下
- 遺構 … 荒れたりくずれたりして残っている宮殿のあと。
陰房鬼火青
陰房 鬼火青く
- 陰房 … うす暗く陰気な部屋。
- 鬼火 … 燐火。きつね火。
壞道哀湍瀉
壊道 哀湍瀉ぐ
- 壊道 … 壊れた石畳の道。
- 哀湍 … もの悲しげな音をたてて流れる早瀬。
萬籟眞笙竽
万籟 真に笙竽
- 万籟 … 天地間の自然のさまざまな物音。
- 笙竽 … 笙も竽もともに管楽器。笙はしょうのふえ。竽はしょうのふえの大きいもの。『全唐詩』には「一作竽瑟」とある。
秋色正蕭灑
秋色 正に蕭灑たり
- 色 … 『全唐詩』には「一作氣、一作光」とある。
- 正 … 『全唐詩』には「一作極」とある。
- 蕭灑 … さっぱりして清らかなさま。
美人爲黄土
美人も黄土と為る
況乃粉黛假
況んや乃ち粉黛の仮なるをや
- 粉黛 … おしろいとまゆずみ。転じて、化粧のこと。
- 仮 … 仮のもの。
當時侍金輿
当時 金輿に侍せしもの
- 金輿 … 黄金で飾った天子の乗り物。
故物獨石馬
故物 独り石馬のみ
- 故物 … 遺物。
- 石馬 … 石で作った馬。太宗が愛した六匹の駿馬をかたどり、昭陵のわきに置いた。
憂來藉艸坐
憂え来って 草を藉いて坐し
浩歌涙盈把
浩歌すれば 涙 把に盈つ
- 浩歌 … 大きな声で歌うこと。
- 把 … 広げた手。
- 盈 … 満ちる。
冉冉征途閒
冉冉たる征途の間
- 冉冉 … 年月のたつさま。
- 征途 … 旅路。
誰是長年者
誰か是れ長年なる者ぞ
- 長年 … 長生きすること。
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