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玉華宮(杜甫)

玉華宮
玉(ぎょく)華(か)宮(きゅう)
杜甫(とほ)
  • ウィキソース「玉華宮」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』には、題下に「貞観二十一年(647)、玉華宮を作り、後に改めて寺と為す。宜(ぎ)君(くん)県(陝西省)の北、鳳皇(ほうおう)谷に在り」(貞觀二十一年、作玉華宮、後改為寺。在宜君縣北鳳皇谷)と注する。ウィキソース「全唐詩/卷217」参照。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。河南府鞏(きょう)県(河南省鄭(てい)州(しゅう)市鞏(きょう)義(ぎ)市)生まれ。本籍は襄(じょう)州襄(じょう)陽(よう)県(湖北省襄陽市襄州区)の人。字(あざな)は子美(しび)。祖父は初唐の詩人、杜審言。若い頃、科挙を受験したが及第できず、各地を放浪して李白らと親交を結んだ。安史の乱では賊軍に捕らえられたが、やがて脱出し、新帝粛(しゅく)宗(そう)のもとで左拾遺(天子に諫言する職)に任じられた。その翌年左遷されたため官を捨てた。四十八歳の時、成都(四川省成都市)の近くの浣(かん)花(か)渓(けい)に草堂を建てて四年ほど過ごしたが、再び各地を転々とし一生を終えた。中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜(りと)」と並称される。『杜工部集』『草堂詩箋』などがある。ウィキペディア【杜甫】参照。
溪囘松風長
渓(たに)回(めぐ)りて松(しょう)風(ふう)長(なが)く
蒼鼠竄古瓦
蒼(そう)鼠(そ) 古瓦(こが)に竄(かく)る
  • 蒼鼠 … 老いたねずみ。
不知何王殿
知(し)らず 何王(なにおう)の殿(でん)ぞ
遺構絶壁下
遺(い)構(こう) 絶壁(ぜっぺき)の下(もと)
  • 遺構 … 荒れたりくずれたりして残っている宮殿のあと。
陰房鬼火靑
陰房(いんぼう) 鬼火(きか)青(あお)く
  • 陰房 … うす暗く陰気な部屋。
  • 鬼火 … 燐火。きつね火。
壞道哀湍瀉
壊道(かいどう) 哀湍(あいたん)瀉(そそ)ぐ
  • 壊道 … 壊れた石畳の道。
  • 哀湍 … もの悲しげな音をたてて流れる早瀬。
萬籟眞笙竽
万籟(ばんらい) 真(しん)に笙(しょう)竽(う)
  • 万籟 … 天地間の自然のさまざまな物音。
  • 笙竽 … 笙も竽もともに管楽器。笙はしょうのふえ。竽はしょうのふえの大きいもの。『全唐詩』には「一作竽瑟」と注する。
秋色正蕭灑
秋色(しゅうしょく) 正(まさ)に蕭(しょう)灑(しゃ)たり
  • 色 … 『全唐詩』には「一作氣、一作光」と注する。
  • 正 … 『全唐詩』には「一作極」と注する。
  • 蕭灑 … さっぱりして清らかなさま。
美人爲黄土
美(び)人(じん)も黄(こう)土(ど)と為(な)る
況乃粉黛假
況(いわ)んや乃(すなわ)ち粉黛(ふんたい)の仮(か)なるをや
  • 粉黛 … おしろいとまゆずみ。転じて、化粧のこと。
  • 仮 … 仮のもの。
當時侍金輿
当(とう)時(じ) 金(きん)輿(よ)に侍(じ)せしもの
  • 金輿 … 黄金で飾った天子の乗り物。
故物獨石馬
故(こ)物(ぶつ) 独(ひと)り石(せき)馬(ば)のみ
  • 故物 … 遺物。
  • 石馬 … 石で作った馬。太宗が愛した六匹の駿馬をかたどり、昭陵のわきに置いた。
憂來藉艸坐
憂(うれ)え来(きた)って 草(くさ)を藉(し)いて坐(ざ)し
浩歌涙盈把
浩(こう)歌(か)すれば 涙(なみだ) 把(は)に盈(み)つ
  • 浩歌 … 大きな声で歌うこと。
  • 把 … 広げた手。
  • 盈 … 満ちる。
冉冉征途閒
冉冉(ぜんぜん)たる征(せい)途(と)の間(かん)
  • 冉冉 … 年月のたつさま。
  • 征途 … 旅路。
誰是長年者
誰(たれ)か是(こ)れ長(ちょう)年(ねん)なる者(もの)ぞ
  • 長年 … 長生きすること。
詩型・韻字
  • 五言古詩。
  • 瓦・下・瀉・灑・假・馬・把・者(上声馬韻)。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻一(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百十七(排印本、中華書局、1960年)
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