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過済源登裴公亭用閑閑老人韻(耶律楚材)

過濟源登裴公亭用閑閑老人韻
済源さいげんよぎり、裴公亭はいこうていのぼり、閑閑かんかん老人ろうじんいんもち
りつざい
  • 〔テキスト〕 『湛然居士文集』巻七(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
  • 七言絶句。空(平声東韻)、溶・濃(平声冬韻)通用。
  • 済源 … 河南省済源市。ウィキペディア【済源市】参照。
  • 過 … 通過する。
  • 裴公亭 … 唐代の政治家、裴休(791~864)が建てたあずまや。湖南省益陽市にある。
  • 閑閑老人 … 金代の政治家、ちょう秉文へいぶん(1159~1232)の号。あざなは周臣。大定二十五年(1185)、進士に及第。『閑閑老人滏水文集』がある。
  • 用韻 …ちょう秉文へいぶんの作った詩の韻字を順不同でそのまま用いること。
  • 耶律楚材 … 1190~1244。元の名臣、文人。あざなは晋卿、おくりなは文正、号は湛然居士。遼の王族の子孫。初め金に仕え、のち元の太祖に仕え、モンゴルの漢土支配に貢献した。詩文集『湛然居士集』十四巻がある。ウィキペディア【耶律楚材】参照。
山接青霄水浸空
やませいしょうせっして みず くうひた
  • 青霄 … 青空。
  • 水 … 湖水。
  • 空 … 大空。
山光灎灎水溶溶
山光さんこう 灎灎えんえん みず 溶溶ようようたり
  • 山光 … 山の景色のこと。
  • 灎灎 … 湖水の波にただよって揺れるさま。「灔灔」とも書く。
  • 溶溶 … 水が盛んに流れている様子。
風廻一鏡揉藍淺
かぜめぐって いっきょう あいじゅうしてあさ
  • 風廻 … つむじかぜが吹きはじめて。
  • 一鏡 … 湖水一面。湖水を鏡に喩えている。
  • 揉藍浅 … 藍を揉んで出たような色の波が浅く立っている。
雨過千峰潑黛濃
あめぎて 千峰せんぽう まゆずみはっしてこまやかなり
  • 雨過 … 雨が通り過ぎて。
  • 千峰 … 多くの峰。連山。連峰。
  • 潑黛濃 … 遠くに見える連山が黒雲に覆われている。「潑黛」は、辺り一帯が墨緑色になっている様子。
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