論詩三十首 其四(元好問)
論詩三十首 其四
論詩三十首 其の四
論詩三十首 其の四
- 〔テキスト〕 『遺山先生文集』巻十一(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
- 七言絶句。新・淳・人(平声真韻)。
- ウィキソース「論詩絶句三十首」参照。
- 論詩三十首 … 題下に「丁丑の歳、三郷にて作る」(丁丑歳、三郷作)との自注がある。興定元年(1217)、作者二十八歳の時、河南省宜陽県の三郷鎮で作られた作品。三十首連作の四番目。漢魏から唐宋までの詩人や詩の流派について、七言絶句の形式で論評を加えたもの。この詩は陶淵明(365~427)について論評している。
- 元好問 … 1190~1257。金の詩人。太原府忻州秀容県(山西省忻州市)の人。字は裕之、号は遺山。興定五年(1221)、進士に及第。正大元年(1224)、詞科に及第。地方官を歴任したが、天興二年(1233)、蒙古軍により国都汴京(河南省開封市)が陥落。翌年、金が滅亡。その後、元には仕官せず、亡国の民となって華北各地を遊歴した。金代の詩の総集『中州集』を編纂。詩文集『遺山先生文集』四十巻がある。ウィキペディア【元好問】参照。
一語天然萬古新
一語 天然 万古新たなり
- 一語 … 一つひとつの言葉。どの言葉をとっても。
- 天然 … 自然である。技巧的・人工的でない。
- 万古新 … 永遠に新鮮である。
豪華落盡見眞淳
豪華 落ち尽くして 真淳見わる
- 豪華 … 華美な文飾。
- 落尽 … すっかり削げ落とす。
- 真淳 … 純粋で素朴なこと。純朴。
- 見 … 現れる。「現」と同じ。
南窗白日羲皇上
南窓の白日 羲皇の上
未害淵明是晉人
未だ害なわず 淵明は是れ晋人なるを
- 未害 … 損なわない。妨げない。
- 淵明 … 365~427。東晋の詩人、陶淵明。ウィキペディア【陶淵明】参照。
- 晋人 … 晋の人。国の下に「人」がつく場合は「じん」とは読まず、「ひと」と読む慣習がある。
- 未害淵明是晋人 … 陶淵明が太古の時代を慕い、その時代の人間になったような気分でいても、淵明はどこまでも晋の人であることを妨げるものではない(矛盾しない)。
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