去者日以疎(古詩十九首 其十四)
去者日以疎
去る者は日〻に以て疎し
去る者は日〻に以て疎し
去者日以疎
去る者は日〻に以て疎く
- 去者 … 主に「死んだ人」という解釈と、「去って行った人」という解釈とがある。ここでは「死者も含めて去って行った人」と解釈したい。なお、「過ぎ去った日日」という解釈もある。
- 日以 … 日ごとに。
- 疎 … 気持ちが離れて忘れられる。
來者日以親
来る者は日〻に以て親し
- 来者 … 身近にやって来た人。やって来て接する人。
- 来 … 『李善注文選』では「生」に作る。この場合は、生きている人。
- 親 … 親しくなる。親しみが増す。
出郭門直視
郭門を出でて直視すれば
- 郭門 … 町はずれにある城郭の門。「郭」は町の周囲を囲む城壁。
- 直視 … まっすぐに見つめること。じっと見ること。
但見丘與墳
但だ丘と墳とを見る
- 但 … 「ただ」と読み、「ただ~だけ」と訳す。限定の意を示す。
- 丘 … 大きな墳墓。墓のある丘。「邱」に作るテキストもある。
- 墳 … 土を丸く盛り上げて作った小さな墓。
- 与 … 「と」と読み、「~と」と訳す。「A与B」の場合は、「AとB与」と読む。「與」は「与」の旧字体。
古墓犁爲田
古墓は犁かれて田と為り
- 古墓 … 古くなった墓地。
- 犁 … 耕す。「犁」は、すき。土をおこす農具。すきで耕すこと。
- 田 … 平らにならした耕地。耕作地。「田んぼ」「畑」ともに「田」という。
松柏摧爲薪
松柏は摧かれて薪と為る
白楊多悲風
白楊 悲風多く
- 白楊 … はこやなぎ。ヤナギ科の落葉高木。墓地によく植えられた。ウィキペディア【ヤマナラシ】参照。
- 悲風 … 物悲しく感じられる秋風。
蕭蕭愁殺人
蕭蕭として人を愁殺す
- 蕭蕭 … 風が物寂しく吹く様子。
- 愁殺 … ひどく寂しがらせる。深く悲しませる。殺は、程度の強いことを示す助辞。
思還故里閭
故里の閭に還らんと思い
- 故里閭 … 故郷の村里の入り口の門。転じて、故郷の村里の意。「故里」は故郷。「閭」は村里の入り口の門。また、「故の里閭」と読んでもよい。意味はほぼ同じ。
- 還 … 故郷の村里に帰る。
欲歸道無因
帰らんと欲すれども道因る無し
- 帰 … 上句の「還」と同じ。
- 無因 … 手立てがない。
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