先進第十一 18 子曰回也其庶乎章
271(11-18)
子曰、回也其庶乎。屢空。賜不受命。而貨殖焉。億則屢中。
子曰、回也其庶乎。屢空。賜不受命。而貨殖焉。億則屢中。
子曰く、回や其れ庶からんか。屢〻空し。賜は命を受けずして貨殖す。億れば則ち屢〻中る。
現代語訳
- 先生 ――「顔回は、まず上等だな。よく貧乏をした。端木賜(子貢)は、運をだしぬいて、金もうけをやった。ヤマをかけるとよくあたる。」(魚返善雄『論語新訳』)
- 先師がいわれた。――
「回の境地はまず理想に近いだろう。財布が空になることはしばしばだが、いつも天命に安んじ、道を楽しんでいる。賜はまだ天命に安んじないで、財を作るのにかなり骨を折っているようだ。しかし、判断は正しいし、考えさえすれば、道にはずれるようなことはめったにないだろう」(下村湖人『現代訳論語』)
語釈
補説
- 其庶乎 … 『集注』に「庶は、近なり。道に近きを言うなり」(庶、近也。言近道也)とある。
- 屢空 … 『集注』に「屢〻空しは、数〻空匱に至るなり」(屢空、數至空匱也)とある。「空匱」は物などが何もないこと。貧乏。
- 回也其庶乎。屢空 … 宮崎市定は「回や其れ屢〻空しきに庶し」と読み、「回は年中貧乏暮しというところ」と訳している。詳しくは『論語の新研究』274頁参照。
- 不受命 … 『集注』に「命は、天命を謂う」(命、謂天命)とある。
- 貨殖 … 『集注』に「貨殖は、貨財生殖するなり」(貨殖、貨財生殖也)とある。
- 億 … 『集注』に「億は、意い度るなり」(億、意度也)とある。『義疏』では「憶」に作る。
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