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雨中登岳陽楼望君山二首 其一(黄庭堅)

雨中登岳陽樓望君山二首 其一
ちゅう 岳陽楼がくようろうのぼ君山くんざんのぞしゅ いち
こう庭堅ていけん
  • 〔テキスト〕 『豫章黄先生文集』巻十一(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
  • 七言絶句。斑・關・山(平声刪韻)。
  • ウィキソース「雨中登岳陽樓望君山」参照。
  • 雨中 … 『四部叢刊本』では「雨去」に作る。
  • 岳陽楼 … 湖南省岳陽市の西門の楼。洞庭湖に面し、楼上からの眺めが美しいことで有名。ウィキペディア【岳陽楼】参照。
  • 君山 … 山名。湖南省岳陽市の西南、洞庭湖中にある。しょうざんとも。
  • 崇寧すうねい元年(1102)、けいしゅう沙市さし(湖北省沙市区)を出発し、故郷の分寧(江西省修水県)に帰る途中、岳陽楼に立ち寄ったときの作。作者五十八歳。
  • 黄庭堅 … 1045~1105。北宋の詩人、書家。洪州分寧(江西省修水県)の人。あざなちょく、号は山谷さんこく道人どうじん。治平四年(1067)、二十三歳で進士に及第。蘇軾の門下生で、蘇門四学士の第一といわれた。師と合わせて蘇黄と並称される。江西詩派の祖。書においては北宋四大家の一人に数えられ、特に草書に優れるとされる。また、おうりょうの禅僧晦堂かいどうしんに禅を学んだ。わが国では、蘇軾とともに五山の禅僧に愛読された。ウィキペディア【黄庭堅】参照。
投荒萬死鬢毛斑
こうとうぜられて ばん 鬢毛びんもうまだらなり
  • 荒 … 辺境の地。
  • 投 … 流される。追放される。左遷される。
  • 万死 … 何度も死ぬ思いをすること。死を覚悟すること。
  • 鬢毛 … びんの毛。左右側面の耳ぎわの毛。
  • 斑 … 白髪まじりになること。
生入瞿塘灔澦關
きてる とうえんかん
  • 生入 … 生きて抜け出すことができた。生きて通り抜けることができた。「入」は「出」に作るテキストもある。
  • 瞿塘 … 瞿塘峡。四川省奉節県の東にある。長江の三峡の一つ。船の難所。ウィキペディア【瞿塘峡】参照。
  • 灔澦関 … えんたいの難関。瞿塘峡の入り口にある大暗礁(水面の下に隠れている巨岩)。水位の増減に従って出没する。長江最大の難所。「関」は難関の意であるが、ここでは関所の意も懸けている。
未到江南先一笑
いま江南こうなんいたらざるにいっしょう
  • 江南 … ここでは作者の故郷、分寧(江西省修水県)を指す。
  • 一笑 … ちょっと笑うこと。ここでは無事に難所を通り抜けられたことに対し、笑みがこぼれたということ。
岳陽樓上對君山
岳陽楼がくようろうじょう 君山くんざんたい
  • 岳陽楼上 … 岳陽楼の上から。
  • 対 … 向かい合う。
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