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日本雑事詩二百首其十二(黄遵憲)

日本雜事詩二百首其十二
日(に)本(ほん)雑(ざつ)事(じ)詩(し)二(に)百(ひゃく)首(しゅ) 其(そ)の十(じゅう)二(に)
黄(こう)遵(じゅん)憲(けん)
  • 〔テキスト〕 黄遵憲『日本雑事詩』(早乙女要作、明治十三年)、他
  • 七言絶句。新・輪・人(上平声真韻)。
  • 国立国会図書館デジタルコレクション「日本雑事詩」参照。
  • 明治十二年(1879)、日本で作ったもの。二百首連作の第十二首。
  • 日本雑事詩 … 明治十年(1877)から四年間、外交官として日本に駐在したときに見聞した種々の事柄について、短文の解説とともに二百首の詩に詠んだもの。光緒五年(1879)、いったん百五十四首で完成。その後補訂を重ね、光緒二十四年(1898)に二百首の定本が完成した。
  • 黄遵憲 … 1848~1905。清末の外交官、詩人。嘉応(今の広東省梅州市梅県区)の人。字(あざな)は公度。光緒二年(1876)、挙人に及第。外交官として日本にも駐在した。著に『日本国志』四十巻、『日本雑事詩』二巻、『人(じん)境(きょう)廬詩(ろし)草(そう)』十一巻などがある。ウィキペディア【黄遵憲】参照。
玉牆舊國紀維新
玉牆(ぎょくしょう)の旧(きゅう)国(こく) 維(い)新(しん)を紀(き)し
  • 玉牆 … 玉垣。玉は、美称。「由緒ある」という形容。
  • 旧国 … 古い国。歴史の長い国。伝統のある国。日本を指す。
  • 維新 … 明治維新。
  • 紀 … (成功を)おさめる。
萬法隨風倏轉輪
万法(まんぼう) 風(かぜ)に随(したが)いて倏(たちま)ち転輪(てんりん)す
  • 万法 … 仏教用語で「まんぼう」と読む。あらゆるもの一切。すべての存在。宇宙の万物。諸法のこと。
  • 随風 … ここでは世界の潮流に沿って。
  • 倏 … たちまち。あっという間に。
  • 転輪 … 仏教用語。転法輪(てんぼうりん)。仏が法(教え)の輪を転ずること。仏の教えが迷っている多くの人々を救うこと。ここでは世界が改革され変化すること。
杼軸雖空衣服粲
杼軸(ちょじく)空(むな)しと雖(いえど)も 衣(い)服(ふく)粲(さん)たり
  • 杼軸雖空 … 織物がないというのに。ここでは国家の財政が貧しいというのに。杼軸は、機織りの道具。転じて、織物をいう。「杼柚(ちょじく)」とも書く。杼は、ひ。横糸を巻いた管を中に入れ、横糸を出しながら、縦糸の間をくぐらせる、小さい舟形のもの。軸(柚(じく))は、縦糸を巻きつける道具。『詩経』小雅・大東に「小東大東、杼柚其れ空し」(小東大東、杼柚其空)とあるのに基づく。ウィキソース「詩經/大東」参照。なお、白川静はこの部分を「近い東(くに) 遠い東(くに) 機(はた)織(お)りの音(おと)も絶(た)えた」と訳している(『詩経雅頌1』平凡社、1998年)。
  • 粲 … 輝いている。
東人贏得似西人
東人(とうじん)贏(か)ち得(え)たり 西人(せいじん)に似(に)るを
  • 東人 … 東洋人。ここでは日本人を指す。
  • 贏得 … 結局得たのは、ただ~だけだった。
  • 西人 … 西洋人。
  • 似 … そっくり似る。猿真似。
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