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泰伯第八 14 子曰不在其位章

198(08-14)
子曰、不在其位、不謀其政。
いわく、くらいらざれば、まつりごとはからず。
現代語訳
  • 先生 ――「本職でないのに、口出しはしない。」(がえり善雄『論語新訳』)
  • 孔子様がおっしゃるよう、「各人その分を守るべきで、その地位にいない者がその仕事に口出しせぬがよい。」(穂積重遠しげとお『新訳論語』)
  • 先師がいわれた。――
    「その地位にいなくて、みだりにその職務のことに口出しすべきではない」(下村湖人『現代訳論語』)
語釈
  • 憲問第十四27」に重出。
  • 位 … 地位。
  • 政 … 政務。職務。
  • 謀 … 意見を述べる。口出しをする。
補説
  • 『注疏』に「此の章は人の官を侵すを戒むるなり」(此章戒人侵官也)とある。『論語注疏』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 『義疏』には、この章の注なし(『集解』の注のみ)。『論語義疏』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 不在其位、不謀其政 … 『集解』に引く孔安国の注に「各〻其の職に専一ならんと欲すればなり」(欲各專一於其職也)とある。『論語集解』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。また『注疏』に「言うこころは此の位に在らずんば、則ち此の位の政を謀るを得ず。各〻をして専一に其の本職を守らしめんと欲するなり」(言不在此位、則不得謀此位之政。欲使各專一守於其本職也)とある。また『集注』に引く程頤の注に「其の位に在らざれば、則ち其の事を任ぜざるなり。若し君大夫問わば、告ぐることは則ち有り」(不在其位、則不任其事也。若君大夫問、而告者則有矣)とある。『論語集注』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 不謀其政 … 『義疏』では「不謀其政也」に作る。
  • 安井息軒『論語集説』に「此れ在位者の為に言うなり。其の田をてて人の田をくさぎるは、古今の通病なり。ここを以て妄りに思慮を費して、其に職すさむ。孔云う、各〻其の職に専一ならんことを欲す、と。各の字味わう可し」(此爲在位者言也。舍其田而芸人之田、古今通病。是以妄費思慮、而其職荒矣。孔云、欲各專一於其職。各字可味矣)とある。『論語集説』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 伊藤仁斎『論語古義』に「人各〻其の分有りて、自ら尽くすこと能わず。必ず好みて位を越え官を犯して、其の政に干預す。故に夫子此を言いて以て戒めと為す」(人各有其分、而不能自盡。必好越位犯官、干預其政。故夫子言此以爲戒)とある。『論語古義』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 荻生徂徠『論語徴』に「謀とは、営為する所有るなり。其の施設の方を営為するは、其の位に在る者に非ざれば為さざる所、亦た能くせざる所なり。是れ必ず其の事有るならん、ただに其の理を論ぜしのみならざるなり。たとえば浮屠ふとに登るが如し、愈〻いよいよ高ければ則ち見る所愈〻広し。故に其の位に在らずして其の政を謀るや、必ず事にくらくして誤る者有らん」(謀者、有所營爲也。營爲其施設之方、非在其位者所不爲、亦所不能也。是必有其事焉、不啻論其理也。辟如登浮屠、愈高則所見愈廣矣。故不在其位而謀其政也、必有昧乎事而誤焉者也)とある。『論語徴』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
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