里仁第四 24 子曰君子欲訥於言而敏於行章
090(04-24)
子曰、君子欲訥於言、而敏於行。
子曰、君子欲訥於言、而敏於行。
子曰く、君子は言に訥にして、行いに敏ならんと欲す。
現代語訳
- 先生 ――「上の人は口は重く、事はキビキビやりたい。」(魚返善雄『論語新訳』)
- 孔子様がおっしゃるよう、「君子たる者、口不調法にして行動敏活なれ。」(穂積重遠『新訳論語』)
- 先師がいわれた。――
「君子は、口は不調法でも行いには敏活でありたいと願うものだ」(下村湖人『現代訳論語』)
語釈
- 言 … 言葉。
- 於 … 置き字。読まない。
- 訥 … 話し方がなめらかでないこと。口下手。訥弁。
- 而 … 「~して」「~て」と直前の語に続けて読み、訓読しないことが多い。ここでは順接の意にとったが、逆説の意にとった場合は「訥なれども」と読み、「而」は同じく訓読しないことが多い。
- 行 … おこない。実行。実践。「行に」と訓読してもよい。
- 敏 … 物事をすばやく行なうこと。機敏。敏捷。
- 欲 … 「ほっす」と読み、「~したいと思う」「~したいと願う」と訳す。
補説
- 『注疏』に「此の章は言を慎み行いを貴ぶなり」(此章愼言貴行也)とある。『論語注疏』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
- 君子欲訥於言、而敏於行 … 『集解』に引く包咸の注に「訥は、遅鈍なり。言には遅鈍ならんと欲して、行には敏ならんと欲するなり」(訥、遲鈍也。言欲遲鈍而行欲敏也)とある。『論語集解』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。また『義疏』に「訥は、遅鈍なり。敏は、疾速なり。君子は行いの言に先んぜんと欲す。故に言に遅にして行いに速なり」(訥、遲鈍也。敏、疾速也。君子欲行先於言。故遲言而速行也)とある。『論語義疏』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。また『注疏』に「訥は、遅鈍なり。敏は、疾なり。言うこころは君子は但だ言には遅鈍にして、行いには敏疾ならんと欲す。時人の行いの言に副わざるを悪むなり」(訥、遲鈍也。敏、疾也。言君子但欲遲鈍於言、敏疾於行。惡時人行不副言也)とある。また『集注』に引く謝良佐の注に「放言は易し。故に訥ならんと欲す。力行は難し。故に敏ならんと欲す」(放言易。故欲訥。力行難。故欲敏)とある。『論語集注』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
- 『集注』に引く胡寅の注に「吾が道一貫より此に至るまでの十章、疑うらくは皆曾子の門人の記す所ならん」(自吾道一貫至此十章、疑皆曾子門人所記也)とある。
- 伊藤仁斎『論語古義』に「此れ夫子君子の心を言いて、以て学者を勉めしむるなり」(此夫子言君子之心、以勉學者也)とある。『論語古義』(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
- 荻生徂徠『論語徴』には、この章の注なし。
こちらの章もオススメ!
学而第一 | 為政第二 |
八佾第三 | 里仁第四 |
公冶長第五 | 雍也第六 |
述而第七 | 泰伯第八 |
子罕第九 | 郷党第十 |
先進第十一 | 顔淵第十二 |
子路第十三 | 憲問第十四 |
衛霊公第十五 | 季氏第十六 |
陽貨第十七 | 微子第十八 |
子張第十九 | 堯曰第二十 |