>   漢詩   >   歴代詩選:中唐   >   遊子吟(孟郊)

遊子吟(孟郊)

遊子吟
ゆうぎん
孟郊もうこう
  • 〔テキスト〕 『全唐詩』巻372、『唐詩三百首』楽府、他
  • 五言古詩。衣・歸・暉(平声微韻)。
  • ウィキソース「遊子吟 (孟郊)」参照。
  • 遊子吟 … 楽府題。遊子は旅人。故郷を離れて遊学する人。吟は「うた」という意。『全唐詩』には題下に、自注として「母をりつ上に迎えて作る」(迎母漂上作)とある。
  • 孟郊 … 751~814。中唐の詩人。湖州武康(浙江省)の人。あざなとう。貞元十二年(796)、進士に及第。溧陽りつよう(江蘇省)の尉となったが、のちに辞任した。韓愈とは生涯親しかった。『孟東野集』十巻がある。ウィキペディア【孟郊】参照。
慈母手中線
慈母じぼ しゅちゅういと
  • 慈母 … 慈しみ深い母。母親の美称。
  • 手中線 … 手の中にある糸。
遊子身上衣
遊子ゆうし 身上しんじょうころも
  • 遊子 … ここでは旅立つ子。
  • 身上衣 … 身のまとう衣服。ここでは旅立つ子が着る衣服。
臨行密密縫
こうのぞんで 密密みつみつ
  • 臨行 … 出発を前にして。出発にあたって。「行」は出発。
  • 密密 … 縫い目を細かに、念入りに。
意恐遲遲歸
おそる 遅遅ちちとしてかえらんことを
  • 意恐 … 心の中で心配していること。
  • 遅遅 … 遅いさま。
誰言寸草心
たれう 寸草すんそうこころ
  • 誰言 … 誰が言うだろうか、いや誰も言えない。反語。『全唐詩』には「一作難將」とある。
  • 寸草心 … 一寸ほどの草のようなわが心。母の慈愛で成長した子に喩える。
報得三春暉
さんしゅんむくんと
  • 三春暉 … 暖かな春の日ざし。「三春」は春の三ヶ月。孟春・仲春・季春をいう。「暉」は日ざし。母の慈愛に喩える。
  • 報得 … 恩に報いることができる。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行