秋思(張籍)
秋思
秋思
秋思
- 〔テキスト〕 『三体詩』七言絶句・虚接、『全唐詩』巻三百八十六、他
- 七言絶句。風(平声東韻)、重・封(平声冬韻)通用。
- ウィキソース「秋思 (張籍)」参照。
- 秋思 … 楽府題の一つ。秋の物思い。秋の物寂しい気持ち。『楚辞』の「九弁」に「悲しいかな、秋の気たるや」(悲哉、秋之為氣也)とある。ウィキソース「九辯」参照。『楽府詩集』巻五十九・琴曲歌辞に属するが、張籍のこの詩は収録されていない。
- 張籍 … 768~830?。中唐の詩人。和州烏江(安徽省)の人。原籍は呉郡(江蘇省)。字は文昌。貞元十五年(799)、進士に及第。水部員外郎、国子司業などを歴任した。『張司業詩集』八巻がある。ウィキペディア【張籍】参照。
洛陽城裏見秋風
洛陽城裏 秋風を見る
- 洛陽 … 今の河南省洛陽市。唐代の副都として栄えた。東都とも呼ばれた。ウィキペディア【洛陽市】参照。
- 城裏 … 城中。城壁に囲まれた市街の中。
- 見秋風 … 晋の張翰が洛陽に入って斉王に仕えていたが、秋風の吹くのを見るにつけ、望郷の念を起こし、官を捨てて故郷へ帰ったという故事を踏まえる。
欲作家書意萬重
家書を作らんと欲して 意 万重
- 家書 … 家族へあてた手紙。
- 家 … 『全唐詩』では「歸」に作り、「一作家」とある。
- 欲作 … 書こうと思い立つ。
- 意万重 … 「あれも書きたい、これも書きたい」と、思いが幾重にも重なること。
復恐怱怱説不盡
復た恐る 怱怱 説いて尽くさざるを
- 復 … ふたたび。『全唐詩』では「忽」に作り、「一作復」とある。
- 恐 … 心配する。
- 怱怱 … 慌ただしいさま。『全唐詩』では「匆匆」に作る。
- 説不尽 … 言い残しがあること。言い尽くせていないこと。
行人臨發又開封
行人 発するに臨んで 又た封を開く
- 行人 … 一般的には「旅人」の意であるが、ここでは手紙を預ける使いの者。飛脚。
- 臨発 … 出発する時に。
- 開封 … 一度閉じた封を切って読み直す。
- 行人臨発又開封 … 山田勝美『中国名詩鑑賞辞典』(角川書店、昭和53年)では「飛脚待たせて 読みかえす」と訳している。
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