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金陵図〔台城〕(韋荘)

金陵圖(臺城)
きんりょうだいじょう
そう
  • 〔テキスト〕 『唐詩三百首』七言絶句、『全唐詩』巻六百九十七、『浣花集』巻四(『四部叢刊 初編集部』所収)、向迪琮校訂『韋荘集』巻四(人民文学出版社、1958年)、聶安福箋注『韋荘集箋注』巻四(上海古籍出版社、2002年)、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻三十(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『唐詩品彙』巻五十四、『唐詩別裁集』巻二十、『才調集』巻三、他
  • 七言絶句。齊・啼・隄(平声齊韻)。
  • ウィキソース「金陵圖」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』『四部叢刊本』『韋荘集』『箋注本』『才調集』では「臺城」に作る。『万首唐人絶句』では「金陵圖二首 其二」に作る。
  • 金陵図 … 金陵の風景画を見て、その印象を詠んだ詩。金陵は今の江蘇省南京市の古称。六朝時代には建康けんこうと呼ばれ、南朝歴代王朝の都であった。
  • 台城 … 六朝時代の天子の御所。禁城。玄武湖のほとりにあった建康けんこう宮を指す。『中国名勝旧跡事典 2』(ぺりかん社、1987年)に「三国時代の呉の後苑城で、東晋から南朝にかけて台省(中央政府)と宮殿の所在地であったので、台城という」とある。『輿地紀勝』巻十七、江南東路建康府、台城の条に「一に苑城と曰う。即ち古えの建康の宮城なり。もと呉の後苑城なり。晋の成帝のかん五年、新宮を此に作る。其の城、唐末尚お存す」(一曰苑城。即古建康宮城也。本呉後苑城。晉成帝咸和五年、作新宮於此。其城、唐末尙存)とある。『輿地紀勝』巻十七(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。なお、画像に「晉安帝」とあるのは誤字。
  • 韋荘 … 836~910。晩唐の詩人。あざなたんけいちょうりょう(陝西省西安市東南)の人。韋応物の子孫。昭宗の乾寧元年(894)、五十九歳で進士に及第し、校書郎に任ぜられた。のちに王建が前蜀を建てたとき、彼に協力し宰相となった。『かんしゅう』十巻がある。ウィキペディア【韋荘】参照。
江雨霏霏江草齊
こう霏霏ひひとして 江草こうそうひと
  • 江雨 … 長江(揚子江)に降る雨。
  • 霏霏 … 雨や雪などが絶え間なく降りしきる様子。
  • 江草 … 川辺の草。
  • 草 … 『万首唐人絶句』では「艸」に作る。同義。
  • 斉 … 一面にえ揃って茂っている様子。
六朝如夢鳥空啼
りくちょう ゆめごとく とりむなしく
  • 六朝 … 建康(建業)を都とした六つの王朝(222~589)、呉・東晋・宋・斉・梁・陳をいう。ウィキペディア【六朝】参照。
  • 如夢 … 夢のように消え去ってしまったこと。
  • 空 … むだに。いたずらに。
無情最是臺城柳
じょうもっとれ だいじょうやなぎ
  • 無情 … 心を持たないこと。感情がないこと。
  • 最是 … 最も無情なのは。
  • 台城 … 玄武湖のほとりにあった宮城。建康宮を指す。
  • 柳 … 『唐詩別裁集』では「栁」に作る。異体字。
依舊煙籠十里堤
きゅうってけむりむ じゅうつつみ
  • 依旧 … 昔のままに。昔ながらに。
  • 煙籠 … 緑のしだれ柳が芽吹いて、春雨にけぶって見える様子。
  • 煙 … 『唐詩別裁集』では「烟」に作る。異体字。
  • 十里堤 … 玄武湖の十里あまりの長い堤。
  • 堤 … 『唐詩三百首』『唐詩別裁集』では「隄」に作る。同義。
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