於郡城送明卿之江西(李攀竜)
於郡城送明卿之江西
郡城に於いて明卿が江西に之くを送る
郡城に於いて明卿が江西に之くを送る
- 〔テキスト〕 『滄溟集』巻十二(『四庫全書』所収)、他
- 七言絶句。凄・迷・西(平声齊韻)。
- ウィキソース「送明卿之江西」参照。
- 郡城 … 郡の役所がある所。済南府(山東省済南市)を指す。
- 明卿 … 作者の友人で後七子の一人、呉国倫の字。宰相の厳崇に逆らったため、南康(江西省康県)へ左遷された。
- 江西 … 南康(江西省康県)を指す。明卿の左遷先。
- 之 … 行く。
- 送 … 見送る。送別。
- 李攀竜 … 1514~1570。明の文人。歴城(山東省)の人。字は于鱗。号は滄溟。嘉靖二十三年(1544)、進士に及第。陝西提学副使、河南按察使等を歴任。王世貞らとともに古文辞を唱え、李夢陽の「文は秦漢、詩は盛唐」の説を継承した。王世貞・謝榛・宗臣・梁有誉・徐中行・呉国倫とともに「後七子」の一人。『滄溟集』三十巻がある。また『唐詩選』の編者ともいわれている。ウィキペディア【李攀竜】参照。
靑楓颯颯雨凄凄
青楓 颯颯たり 雨 凄凄たり
- 青楓 … 青い楓。
- 颯颯 … 風がさっと吹く様子。沈約の「台に登りて秋月を望む」(『玉台新詠』巻九)に「上林の晩葉颯颯として鳴り、雁門の早鴻離離として度る」(上林晚葉颯颯鳴、雁門早鴻離離度)とある。ウィキソース「登臺望秋月」参照。
- 凄凄 … 雨が冷たく降りしきるさま。
秋色遙看入楚迷
秋色 遥かに看る 楚に入って迷うを
- 秋色 … 秋の気配。南朝斉の謝朓「三湖を望む」詩に「葳蕤として 向には春秀なるも、芸黄として 共に秋色なり」(葳蕤向春秀、芸黄共秋色)とある。葳蕤は、草木の勢いが盛んなさま。春秀は、春の花や草木の若々しさ。芸黄は、草木が枯れること。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷071」参照。また、北周の王褒の楽府「関山月」(『楽府詩集』巻二十三)に「関山 夜月明るく、秋色 孤城を照らす」(關山夜月明、秋色照孤城)とある。こちらの秋色は、月の光を指す。ウィキソース「樂府詩集/023卷」参照。
- 遥看 … 遥かに眺めても。
- 楚 … 春秋・戦国時代の国。首都は郢(今の湖北省江陵県付近)。戦国七雄(秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓)の一つ。ウィキペディア【楚 (春秋)】参照。
- 入楚迷 … 秋の気配が楚の地あたりで消えること。
誰向孤舟憐逐客
誰か孤舟に向って逐客を憐れむ
- 孤舟 … 一そうの舟。
- 逐客 … 朝廷から追放された人。
白雲相送大江西
白雲 相送る 大江の西
- 相 … 「(対象に)~する」と訳す。「たがいに~」の意ではない。
- 大江 … 長江の別名。
- 西 … (長江の)西まで。
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