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折楊柳(楊巨源)

折楊柳
折(せつ)楊(よう)柳(りゅう)
楊(よう)巨源(きょげん)
  • 〔テキスト〕 『唐詩品彙』巻五十二、『全唐詩』巻三百三十三、他
  • 七言絶句。絲・枝・吹(上平声支韻)。
  • ウィキソース「折楊柳 (楊巨源)」参照。
  • 折楊柳 … 楽府題の一つ。楊柳は、やなぎの総称。もともと送別に際し、楊柳の枝を折って輪にし、贈る習慣があった。しかし、『唐詩鑑賞辞典』(東京堂書店、昭和四十五年)では「この詩が送別の場で作られたものかどうかは極めて疑わしい。(中略)『折楊柳』という楽府題を用いて一篇の詩を創作したものと考えられるのである」と言っている。『全唐詩』には、題下に「一に練秀才の楊柳に和すに作る、一に戴叔倫の詩と作す」(一作和練秀才楊柳、一作戴叔倫詩)とある。『唐詩品彙』では「和練秀才楊柳」に作り、題下に「一作戴叔倫詩」と注する。
  • 楊巨源 … 770~?。中唐の詩人。蒲(ほ)中(ちゅう)(山西省蒲県)の人。字(あざな)は景山。貞元五年(789)、進士に及第。国(こく)子(し)司(し)業(ぎょう)にまで進んだ。白居易、元稹とも交遊があった。
水邊楊柳麴塵絲
水辺(すいへん)の楊(よう)柳(りゅう) 麴塵(きくじん)の糸(いと)
  • 水辺 … 川のほとり。岸辺。
  • 麴塵糸 … 若芽を吹いた柳の細い枝が黄緑色の糸のように見えること。麴塵は、うす黄色のこうじかび。転じて、こうじかびの色が黄緑色をしているので柳の芽に喩えられる。
  • 麴塵 … 『唐詩品彙』では「緑煙」に作る。緑煙とは、夕方のもやのこと。柳の細い枝に若芽がはえ出てかすんで見える様子。
  • 塵 … 『全唐詩』には「一作煙」と注する。
立馬煩君折一枝
馬(うま)を立(とど)め君(きみ)を煩(わずら)わして一(いっ)枝(し)を折(お)る
  • 立馬 … 馬を駐(とど)めること。
  • 煩君 … 君の手を煩わして~してもらう。君にお願いして~してもらう。
  • 折一枝 … 小枝を一本折ってもらう。
惟有春風最相惜
惟(た)だ春(しゅん)風(ぷう)の最(もっと)も相(あい)惜(お)しむ有(あ)り
  • 惟有 … ただ~だけである。
  • 春風最相惜 … 春風が柳の枝との別れを惜しむかのように。
殷勤更向手中吹
殷勤(いんぎん)に更(さら)に手(しゅ)中(ちゅう)に向(む)かって吹(ふ)く
  • 殷勤 … ねんごろで丁寧なこと。真心を込めること。慇懃に同じ。司馬遷「任(じん)少(しょう)卿(けい)に報ずるの書」(『文選』巻四十一)に「趣舎(しゅしゃ)路(みち)を異にし、未だ嘗て盃酒(はいしゅ)を銜(ふく)み、殷勤の余(よ)懽(かん)に接せず」(趣舍異路、未嘗銜盃酒、接殷勤之餘懽)とある。趣舎は、進むことと、止(とど)まること。余懽は、微かな懽(よろこ)び。余歓。ウィキソース「報任少卿書」参照。また、三国魏の王粲「雑詩四首」(『古詩紀』巻二十五)の第三首に「願わくは春陽の会に及び、頸(くび)を交えて遘(お)うて殷勤にす」(願及春陽會、交頸遘殷勤)とある。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷025」参照。また、劉宋の謝霊運「道路にて山中を憶う」詩(『文選』巻二十六)に「殷勤にして危(き)柱(ちゅう)に訴え、慷慨(こうがい)して促管(そくかん)に命ず」(殷勤訴危柱、慷慨命促管)とある。危柱は、高くした琴(こと)柱(じ)。琴の音が高いことを指す。慷慨は、感情が高まって嘆くこと。促管は、速い調子の笛の音。ウィキソース「昭明文選/卷26」参照。
  • 更 … いっそう。『全唐詩』には「一作肯」と注する。
  • 向手中 … 手の中で。向は、ここでは「~にむかって」の意ではなく、「~で」の意を表す。
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