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楚辞 きゅう第二 (五)だいめい

廣開兮天門 紛吾乗兮玄雲
ひろ天門てんもんひらき、ふんとしてわれ玄雲げんうんる。
  • ウィキソース「九歌」参照。
  • 大司命 … 星神の名。寿命と運命を司るという。少司命は大司命を補佐する。大司命が男神、少司命が女神であると考えられる。
  • 天門 … 天子の宮殿の門。
  • 紛 … 雲が乱れるさま。
  • 玄雲 … 黒い雲。
令飄風兮先驅 使涷雨兮灑塵
ひょうふうをしてせんせしめ、とうをしてちりそそがしむ。
  • 飄風 … つむじ風。
  • 涷雨 … にわか雨。
君廻翔兮以下 踰空桑兮從女
きみかいしょうしてもっくだれば、空桑くうそうえてなんじしたがわん。
  • 空桑 … 山名。空桑山。司命神のいる所。
紛總總兮九州 何壽夭兮在予
ふんとして総総そうそうたる九州きゅうしゅうなん寿夭じゅようわれる。
  • 九州 … 中国全土のこと。
高飛兮安翔 乗清氣兮御陰陽
たかび、やすらかにかけり、せいりて陰陽いんようぎょす。
吾與君兮齋速 導帝之兮九坑
われきみ斎速せいそくに、ていみちびいてきゅうこうかん。
靈衣兮被被 玉佩兮陸離
れい被被ひひたり、ぎょくはいりくたり。
壹陰兮壹陽 衆莫知兮余所爲
壱陰いちいん壱陽いちようしゅうところし。
折疏麻兮瑶華 將以遺兮離居
疏麻そまようり、まさもっはなるものにおくらんとす。
  • 疏 … 底本では「䟽」に作るが、改めた。「䟽」は「疏」の異体字。
老冉冉兮既極 不寖近兮愈疏
冉冉ぜんぜんとしてすできわまり、ようやちかからず愈〻いよいよとおし。
  • 疏 … 底本では「䟽」に作るが、改めた。「䟽」は「疏」の異体字。
乗龍兮轔轔 髙駝兮沖天
りょうりて轔轔りんりんたり、たかせててんいたる。
結桂枝兮延竚 羌愈思兮愁人
けいむすんで延竚えんちょす、ああ愈〻いよいよおもいてひとをしてうれえしむ。
愁人兮柰何 願若今兮無虧
ひとうれえしむるを奈何いかんせん。ねがわくはいまごとくにしてくるからんことを。
固人命兮有當 孰離合兮可爲
もとよりひといのちにはあたり、たれごうけん。
九歌第二
(一)東皇太一 (二)雲中君
(三)湘君 (四)湘夫人
(五)大司命 (六)少司命
(七)東君 (八)河伯
(九)山鬼 (十)国殤
(十一)礼魂  
楚辞目次
九歌第二 卜居第六
漁父第七 惜誓第十一
招隠士第十二