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絶句四首 其三(杜甫)

絶句四首 其三
ぜっしゅ さん
杜甫とほ
  • 〔テキスト〕 『宋本杜工部集』巻十三、『杜詩詳注』巻十三、『全唐詩』巻二百二十八、他
  • 七言絶句。天・船(平声先韻)。
  • ウィキソース「全唐詩/卷228」参照。
  • 絶句 … 広徳二年(764)、杜甫五十三歳、成都での作。ここでは漢詩の形式の名をそのまま詩題にしている。この詩の前半と後半がきれいな対句となっているので、一説には律詩の二聯として作られたものではないかと言われている。楊慎ようしん『升庵詩話』巻11に、「絶句四句皆對。杜工部『兩個黄鸝』一首是也。然不相連屬。即是律中四句也」とある。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。じょうよう(湖北省)の人。あざな子美しび。祖父は初唐の詩人、杜審言。若い頃、科挙を受験したが及第できず、各地を放浪して李白らと親交を結んだ。安史の乱では賊軍に捕らえられたが、やがて脱出し、新帝しゅくそうのもとで左拾遺に任じられた。その翌年左遷されたため官を捨てた。四十八歳の時、成都(四川省成都市)の近くのかんけいに草堂を建てて四年ほど過ごしたが、再び各地を転々とし一生を終えた。中国最高の詩人として「詩聖」と呼ばれ、李白とともに「李杜りと」と並称される。『杜工部集』がある。ウィキペディア【杜甫】参照。
兩箇黄鸝鳴翠柳
りょうこう すいりゅう
  • 両箇 … 二つ。二羽。
  • 黄鸝 … 朝鮮うぐいす。高麗うぐいす。日本のより大きい。
  • 翠柳 … みどりの柳。
一行白鷺上青天
一行いっこうはく 青天せいてんのぼ
  • 一行 … 一列。
  • 白鷺 … しらさぎ。
窗含西嶺千秋雪
まどにはふくむ 西嶺せいれい せんしゅうゆき
  • 窓含 … 窓わくの中に絵をはめ込んだように、はっきりと見えることの表現。
  • 西嶺 … 西方の山々。
  • 千秋雪 … 万年雪。『宋本杜工部集』には「西山白雪、四時不消」とある。『全唐詩』にも「原注」と表記して同じ注がある。
門泊東呉萬里船
もんにははくす とう ばんふね
  • 門 … 杜甫の草堂の門前。
  • 東呉 … 東方の呉の地方。現在の江蘇省南部。
  • 万里船 … 万里も離れた呉の地の船。
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