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九日宴(張諤)

九日宴
きゅうじつえん
ちょうがく
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻一百十、『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、61頁)、『唐詩品彙』巻五十五、『国秀集』巻中、他
  • 七言絶句。鱗・人(平声真韻)。
  • ウィキソース「九日宴」参照。
  • 九日 … 陰暦九月九日、重陽の節句。この節句のならわしとして、小高い丘に登り、茱萸を髪にかざし、菊の花を浮かべた酒を飲むなどして一年の厄払いをする習慣があった。ウィキペディア【重陽】参照。
  • この詩は、旧暦九月九日、重陽の宴席での情景を詠んだもの。
  • 張諤 … 生没年不詳。盛唐の詩人。中宗の景龍二年(708)、進士に及第(『登科記考』巻四)。玄宗の弟の岐王範(686~726)の邸に出入りし、酒を飲んで詩を賦した。後に朝廷の許可なく岐王の邸に出入りしたかどで、山茌さんじん(今の山東省済南市長清区の近く)の丞に左遷された。『全唐詩』に十二首収録されている。岐王範についてはウィキペディア【李範 (唐朝)】(中文)参照。
秋葉風吹黃颯颯
しゅうよう かぜいてこう颯颯さっさつ
  • 秋葉 … 秋のの葉。南朝梁の何遜の「塘辺とうへんに古塚を見る」(『古詩紀』巻九十三、『文苑英華』巻三百六では「悲行路孤墳」に作る)に「幾たびか秋葉の黄を」(幾經秋葉黃)とある。塘辺は、池のほとり。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷093」「文苑英華 (四庫全書本)/卷0306」参照。
  • 黄 … 黄ばんだ葉。
  • 颯颯 … 風がさっと吹く音。沈約の「台に登りて秋月を望む」(『玉台新詠』巻九)に「じょうりん晩葉ばんよう颯颯さっさつとしてり、雁門がんもん早鴻そうこう離離りりとしてわたる」(上林晚葉颯颯鳴、雁門早鴻離離度)とある。ウィキソース「登臺望秋月」参照。
  • 颯 … 『古今詩刪』では「䬃」に作る。異体字。
晴雲日照白鱗鱗
晴雲せいうん らしてはく鱗鱗りんりん
  • 晴雲 … 秋晴れの空に浮かぶ雲。
  • 日照 … (雲が)日に照らされて。
  • 白 … 白く。
  • 鱗鱗 … うろこのようにぎっしりと並ぶさま。うろこ雲の形容。鮑照の「都に還る道中にての作」(『文選』巻二十七)に「鱗鱗りんりんとして夕雲せきうんおこり、猟猟りょうりょうとしてぎょうふうすみやかなり」(鱗鱗夕雲起、獵獵曉風遒)とある。ウィキソース「昭明文選/卷27」参照。
歸來得問茱萸女
らい うをたり しゅじょ
  • 帰来 … 帰り道で。来は助辞。
  • 得問 … 尋ねてみた。得は「~する機会を得た」の意。
  • 茱萸女 … 茱萸を髪にさした女たち。酒宴の席で客の相手をする商売女を指す。
  • 茱萸 … しゅ。和名カワハジカミ。重陽の節句に、丘に登るとき、髪に茱萸の実を刺して厄除けのしるしとする風習があったという。
今日登高醉幾人
今日こんにち 登高とうこう 幾人いくにんをかわせしと
  • 登高 … 登高の宴席で。登高は、重陽の節句に小高い丘に登って菊酒を飲み、災厄を払う行事のこと。
  • 酔幾人 … 何人ほどの男を酔わしたかね。
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