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折楊柳(段成式)

折楊柳
せつようりゅう
だん成式せいしき
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻五百八十四(段成式)・巻七百一(王貞白)、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二十九(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『唐詩品彙』巻五十四、他
  • 七言絶句。門・恩・昏(平声元韻)。
  • ウィキソース「折楊柳七首(段成式)」「折楊柳三首(王貞白)」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』巻五百八十四(段成式)では「折楊柳七首 其一」に作り、「此篇一作王貞白詩」とある。『全唐詩』巻七百一(王貞白)では「折楊柳三首 其一」に作り、題下に「一作段成式詩」とある。『万首唐人絶句』では「折楊柳七首 其一」に作る。『唐詩品彙』では「折楊柳枝詞」に作る。
  • 折楊柳 … 楽府題の一つ。元は別離の曲。しかし、ここでは天子の寵愛を失った宮女の怨情を詠じる。
  • この詩は、漢の武帝の寵愛を失い、長門宮に退居させられた陳皇后の嘆きを想像しながら作ったもので、宮女の閨怨けいえん詩である。なお、同じく陳皇后を詠じた詩に令狐楚の「思君恩」がある。ウィキペディア【陳皇后 (漢武帝)】参照。
  • 段成式 … ?~863?。晩唐の文人。あざな柯古かこりん(山東省)の人。宰相段文昌の子。蔭補(父の功績によって官職を得ること)をもって校書郎に任命され、吉州(今の江西省吉安市)刺史・太常少卿などを歴任した。随筆集『酉陽ゆうようざっ』二十巻、続集十巻がある。ウィキペディア【段成式】参照。
枝枝交影鎖長門
枝枝ししかげまじえてちょうもんとざ
  • 枝枝 … 柳の枝々。
  • 交影 … 影を交錯させて。
  • 長門 … 漢の離宮の名。長門宮。武帝の寵愛が衛子夫に移り、その嫉妬から陳皇后は呪詛事件を起こしたため、武帝の怒りを買い、元光五年(前130)、長門宮に退居させられた。『漢書』陳皇后伝に「罷退はいたいしてちょうもんきゅうる」(罷退居長門宮)とある。ウィキソース「漢書/卷097上」参照。
  • 鎖 … (長門宮の入口を)閉ざしている。
嫩色曾霑雨露恩
どんしょくかつうるおう 雨露うろおん
  • 嫩色 … 草木の若々しい色。宮女の若かった頃の色香に喩える。
  • 霑 … うるおう。恩恵や厚いもてなしを受ける。『全唐詩』では「沾」に作る。同義。
  • 雨露恩 … 雨や露の恵み。天子の寵愛に喩える。
鳳輦不來春欲盡
鳳輦ほうれんきたらず はるきんとほっ
  • 鳳輦 … 屋根に鳳凰の飾りがついた天子の乗物。輦は、天子の乗る手引きぐるま。鳳車ほうしゃほうほう輿とも。
  • 春欲尽 … 春がもう過ぎ去ろうとしている。ここでは、宮女の容色が衰えていくことをかけている。
空留鶯語到黄昏
むなしくおうとどめて黄昏こうこんいた
  • 鶯語 … 鶯の鳴く声。鶯のさえずり。おう鶯声おうせい鶯吟おうぎんも同じ。
  • 留 … 『唐詩選』『万首唐人絶句』『唐詩品彙』では「畱」に作る。異体字。
  • 到黄昏 … 黄昏たそがれになっていく。夕暮れになっていく。
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