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汾上驚秋(蘇頲)

汾上驚秋
ふんじょうにてあきおどろ
てい
  • 五言絶句。雲・汾・聞(平声文韻)。
  • 『全唐詩』巻74所収。ウィキソース「汾上驚秋」参照。
  • 汾上 … 汾水のほとり。汾水は山西省寧武県の西南に源を発し、黄河に注ぐ川。「上」は、ほとり。汾水はその昔、漢の武帝が船を浮かべて遊び、「秋風起りて白雲飛び、草木ばみ落ちてかり南に帰る。蘭にはな有り菊にかおり有り、佳人を懐いて忘るる能はず。楼船をうかべてふんわたり、中流に横わりて素波そはぐ。しょう鳴りてとうを発す。歓楽極りて哀情多し。少壮幾時いくときぞ老いをかんせん」という「秋風の辞」を作った川として有名。
  • 驚秋 … もう秋になったかとハッと驚く。秋の気配の訪れにハッと胸をつかれる。
  • この詩は、作者が「秋風の辞」を思い浮かべながら作ったものと考えられる。
  • 蘇頲 … 670~727。初唐の詩人。ようしゅうこう(陝西省武功県)の人。あざな廷碩ていせき。監察御史などの官職を歴任後、開元四年(716)に宰相となった。ウィキペディア【蘇テイ】参照。
北風吹白雲
北風ほくふう 白雲はくうん
  • 北風 … 北から吹いてくる冷たい風。平野彦次郎『唐詩選研究』(明徳出版社、昭和49年)では「四時の風は、春は東風、夏は南風、秋は西風、冬は北風というのが普通である。しかしこの詩では、秋の風を特に北風といっている。語調の関係であろう」と言っている。
  • 白雲 … 白い雲。漢の武帝「秋風の辞」の「秋風起りて白雲飛ぶ」とあるのに基づく。
  • 吹 … 吹きとばす。
萬里渡河汾
ばん ふんわた
  • 万里 … 都から遠く離れた旅の途中にあること。
  • 河汾 … 元は黄河と汾水のことであるが、ここでは「秋風の辞」にある汾河を指す。汾水の別名。押韻の都合で汾河を逆にしている。
心緒逢搖落
心緒しんしょ 揺落ようらく
  • 心緒 … 心の糸。心の動き。情緒。「緒」は糸のはし。
  • 揺落 … 落葉が揺れながら落ちること。
秋聲不可聞
しゅうせい からず
  • 秋声 … 秋の物音。風の音や、木の葉の落ちる音。
  • 不可聞 … 物寂しくて、聞くに堪えない。
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