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宣政殿退朝晩出左掖(杜甫)

宣政殿退朝晩出左掖宣政殿せんせいでんより退朝たいちょうし、くれえきず)
杜甫とほ     
  • 七言律詩。旗・絲・時・遲(平声支韻)。
  • 『全唐詩』巻225所収。ウィキソース「全唐詩/卷225」[20 宣政殿退朝晩出左掖(掖門在兩旁如人之臂掖)]参照。
  • 宣政殿 … 長安の都の東のだいである大明宮たいめいきゅうの中にあった宮殿。天子が政務を執る所。
  • 退朝 … 朝廷から退出すること。
  • 左掖 … 宣政殿の左側(東側)にあった小門。そこに作者が勤務していた門下省があった。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。襄陽じょうようの人。あざなは子美。李白と並び称される大詩人で「詩聖」といわれている。ウィキペディア【杜甫】参照。
天門日射黄金榜
天門てんもん る 黄金おうごんぼう
  • 天門 … 宮殿の門。左掖をさす。
  • 黄金榜 … 宮門に掲げられた金字の額。「榜」は「牓」に作るテキストもある。同義。
春殿晴曛赤羽旗
春殿しゅんでん 晴曛せいくん 赤羽せきうはた
  • 春殿 … 春の宮殿。宣政殿をさす。
  • 晴曛 … よく晴れた日の、夕日の光。
  • 曛 … 『全唐詩』には「一作熏」との注がある。
  • 赤羽旗 … 朱雀を描いた旗。
宮艸微微承委佩
宮草きゅうそう微微びびとして委佩いはい
  • 宮草 … 御庭の草。
  • 微微 … 底本では「菲菲」に作るが、諸本に従い改めた。奥深く静かなさま。幽静なさま。『全唐詩』には「一作霏霏」との注がある。「霏霏」では雪や雨が絶え間なく降るという意味になり、ここでは合わない。底本の「菲菲」は草が盛んに茂るという意味なので、こちらのほうがしっくりくる。
  • 委佩 … 垂れ下がった佩玉。
爐煙細細駐遊絲
えん細細さいさいとして遊糸ゆうしとど
  • 炉煙 … 香炉の煙。
  • 遊糸 … 蜘蛛の吐く糸で空中をただようもの。
雲近蓬萊常五色
くも蓬萊ほうらいちこうしてつね五色ごしき
  • 蓬萊 … 宮殿の名。蓬萊宮。また、ここでは仙人の住むという蓬萊山とをかけている。
  • 五 … 『全唐詩』では「好」に作り、「一作五」との注がある。
  • 五色 … 瑞雲の色をさす。
雪殘鳷鵲亦多時
ゆき鳷鵲しじゃくのこるも多時たじ
  • 鳷鵲 … 漢代の宮観(宮殿の総称)の名。鳷鵲観。ここではその名を借りている。
侍臣緩歩歸青瑣
侍臣じしん緩歩かんぽして青瑣せいさかえ
  • 侍臣 … ここでは作者をさす。
  • 緩歩 … ゆっくりと歩くこと。
  • 青瑣 … 青瑣門。
退食從容出毎遲
退食たいしょく 従容しょうようとしてずることつねおそ
  • 退食 … 朝廷から退出し、自宅に帰って食事をすること。『詩経』召南・羔羊こうように、「委蛇いい委蛇いいと、こうより退食たいしょくす」(委蛇委蛇、自公退食)とある。ウィキソース「詩經/羔羊」参照。
  • 従容 … ゆったりと落ち着いたさま。
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