>   漢詩   >   唐詩選   >   巻五 七律   >   遙同杜員外審言過嶺(沈佺期)

遙同杜員外審言過嶺(沈佺期)

遙同杜員外審言過嶺
はるかに員外いんがい審言しんげんれいよぎるにどう
しんせん
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻九十六、『沈佺期集』巻下(『前唐十二家詩』所収)、『沈佺期集』巻四(『唐五十家詩集』所収)、『文苑英華』巻二百八十九、『唐詩品彙』巻八十二、『唐詩別裁集』巻十三、他
  • 七言律詩。分・雲・聞・群・君(平声文韻)。
  • ウィキソース「遙同杜員外審言過嶺」参照。
  • 杜員外審言 … 杜審言。ウィキペディア【杜審言】参照。「員外」は杜審言の官職名、膳部員外郎。
  • 嶺 … 華南と華中との境界をなす五嶺(南嶺)山脈のこと。大庾嶺・始安嶺・臨賀嶺・桂陽嶺・掲陽嶺の五嶺を総称していう。ウィキペディア【南嶺山脈】参照。
  • 杜審言が配所への旅の途中に作った「れいよぎる」を作者が見て、唱和したもの。「遙かに」と言ったのは互いに配所の地が隔たっていたため。
  • 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。あざなは雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪でかんしゅう(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少せんに至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
天長地闊嶺頭分
てんながひろくして嶺頭れいとうわか
  • 闊 … 遠くまで広々と広がっている様子。
  • 嶺頭 … ここでは大庾嶺だいゆれいの峠の上。
去國離家見白雲
くにいえはなれて白雲はくうん
  • 国 … 都。
洛浦風光何所似
らく風光ふうこう なんところ
  • 洛浦 … 洛陽の南を流れる洛水の岸辺。
  • 風光何所似 … 『全唐詩』には「一作肝腸無用説」とある。『文苑英華』では「肝腸無用説」に作る。
崇山瘴癘不堪聞
崇山すうざんしょうれい くにえず
  • 崇山 … かん州(ベトナム北部)の方にあった山らしいが、位置はよくわからない。
  • 瘴癘 … 感染性の熱病。マラリアなど。南方の湿地に多い。
南浮漲海人何處
みなみのかたちょうかいうかんでひといずれのところ
  • 漲海 … 今の南海。
  • 人 … 『全唐詩』には「一作鳶」とある。『文苑英華』では「鳶」に作り、「集作人」とある。
北望衡陽鴈幾羣
きたのかた衡陽こうようのぞめばかり幾群いくぐん
  • 衡陽 … 今の湖南省衡陽市のあたり。
兩地江山萬餘里
りょう江山こうざん ばん余里より
  • 両地 … 作者の配所はかん州、杜審言の配所は峯州(ハノイの近く)。
  • 江山 … 『全唐詩』には「一作春光」とある。『文苑英華』では「春光」に作り、「春」に対し「集作風」とある。
  • 万余里 … 一万余里。
何時重謁聖明君
いずれのときかさねて聖明せいめいきみえつせん
  • 聖明君 … 明徳をそなえた天子。
  • 謁 … 拝謁する。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行