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西山(常建)

西山
西山せいざん
じょうけん
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻一、『全唐詩』巻一百四十四、『常建集』巻上(『唐五十家詩集』所収)、他
  • 五言古詩。際・勢・麗・繼・霽・閉・厲・蔽・曳・袂(去声霽韻)。
  • ウィキソース「西山」参照。
  • 常建 … 生没年不詳。盛唐の詩人。長安(陝西省)の人といわれてきたが、はっきりしない。あざなは不詳。開元十五年(727)、王昌齢らとともに進士に及第。盱眙くい(江蘇省)の尉をつとめた。晩年は鄂渚がくしょ(湖北省)に隠棲して王昌齢・ちょうふんらと交際した。著に『常建詩集』二巻がある。ウィキペディア【常建】参照。
一身爲輕舟
一身いっしん けいしゅう
落日西山際
落日らくじつ 西山せいざんさい
常隨去帆影
つね去帆きょはんかげしたが
遠接長天勢
とお長天ちょうてんいきおいせっ
  • 長天 … 広い空。
物象歸餘清
物象ぶっしょう 余清よせい
  • 物象 … 万物の姿。
  • 余清 … すがすがしさの影響。
林巒分夕麗
林巒りんらん 夕麗せきれいわか
  • 林巒 … 林や山の峰。
  • 夕麗 … 夕焼けの美しさ。
亭亭碧流暗
亭亭ていていとして碧流へきりゅうくら
  • 亭亭 … はるかに遠いさま。
日入孤霞繼
りて孤霞こか
  • 孤霞 … ひとひらの夕焼け雲。
洲渚遠陰映
洲渚しゅうしょ とお陰映いんえい
  • 洲渚 … 川の中洲やなぎさ。『全唐詩』では「渚日」に作る。
  • 陰映 … かげったり光ったりすること。
湖雲尚明霽
湖雲こうん 明霽めいせい
  • 明霽 … 明るくくっきり輝いている。
林昏楚色來
はやしくらくして楚色そしょくきた
  • 楚色 … 楚の国の気配。
岸遠荊門閉
きしとおくして荊門けいもん
  • 荊門 … 荊門山。湖北省宜都県の西北、揚子江の南岸にある。
至夜轉清迥
いたりてうた清迥せいけい
  • 清迥 … 遠く澄みわたること。迥は遠と同じ。
蕭蕭北風厲
蕭蕭しょうしょうとして北風ほくふうはげ
  • 蕭蕭 … 風がものさびしく吹くようす。
沙邊雁鷺泊
沙辺さへん 雁鷺がんろはく
宿處蒹葭蔽
宿処しゅくしょ 蒹葭けんかおお
  • 宿処 … 舟の停泊する場所。
  • 蒹葭 … あしのまだ生長しきっていないもの。
圓月逗前浦
円月えんげつ 前浦ぜんぽとどまり
  • 前浦 … 目の前の入り江。
孤琴又搖曳
孤琴こきん 揺曳ようえい
  • 揺曳 … 尾を引くようにしてゆらゆらと揺れ動くこと。
冷然夜遂深
冷然れいぜんとしてついふか
  • 冷然 … ひんやり。『全唐詩』では「泠然」に作る。「泠然」だと「さわやかですがすがしい」との意になる。
白露沾人袂
はく ひとたもとうるお
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