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対酒 其二(白居易)

對酒 其二
さけたい
はくきょ
  • 〔テキスト〕 『白氏文集』巻五十六(『四部叢刊 初編集部』所収、通称:四部叢刊本・那波本)、『白氏文集』巻二十六(南宋紹興刊本、通称:紹興本)、『白氏文集』巻二十六(明馬元調校刊本、通称:馬本)、『白香山詩集』後集 巻九(清汪立名編訂本、通称:汪本)、『全唐詩』巻四百四十九、他
  • 七言絶句。身・人(平声真韻)。
  • ウィキソース「對酒五首 其二」参照。
  • 對酒 其二 … 五首連作の第二首。白居易五十八歳頃の作。
  • 白居易 … 772~846。中唐の詩人。あざなは楽天、号は香山居士。貞元十六年(800)、進士に及第。翰林学士、左拾遺などを歴任後、江州(江西省九江)司馬に左遷された。のち中央に復帰し、最後は刑部尚書の肩書で退官した。詩風は平易を第一とした。詩文集『はくもんじゅう』は平安時代に我が国へ伝えられ、日本文学に多大な影響を与えた。ウィキペディア【白居易】参照。
蝸牛角上爭何事
ぎゅうかくじょう 何事なにごとをかあらそ
  • 蝸牛角上 … かたつむりの角の上のような小さな世界。『荘子』則陽篇に「戴晋人たいしんじんいわく、所謂いわゆるなるものり、きみこれるか、と。いわく、しかり、と。かくくにするものり、しょくう。右角ゆうかくくにするものり、ばんう。ときあいともあらそいてたたかい、ふく数万すうまんぐるをいてじゅんゆうじつにしてのちかえる、と」(戴晉人曰、有所謂蝸者、君知之乎。曰、然。有國於蝸之左角者、曰觸氏。有國於蝸之右角者、曰蠻氏。時相與爭地而戰、伏尸數萬、逐北旬有五日而後反)とある。ウィキソース「莊子/則陽」参照。故事成語「蝸牛角上の争い」参照。
  • 争何事 … いったい何を争うのか。
石火光中寄此身
せっこうちゅう 
  • 石火光中 … 非常に短い時間のたとえ。「石火」は火打ち石を打ったときに出る火花。
  • 寄此身 … はかないこの世に身を置いている。
隨富隨貧且歡樂
とみしたがひんしたがいて しばら歓楽かんらくせん
  • 随富随貧 … 金持ちも貧乏人も、それなりに分に応じて。
  • 且 … しばらく。ともかくは。
  • 歓楽 … 喜び楽しむ。
不開口笑是癡人
くちひらいてわらわざるはじん
  • 開口笑 … 大きく口を開いて愉快に笑う。『荘子』盜跖とうせき篇に「びょうそうそう憂患ゆうかんのぞきて、うちくちひらきてわらもの一月いちげつうち四五しごじつぎざるのみ」(除病痩死喪憂患、其中開口而笑者、一月之中、不過四五日而已矣)とある。ウィキソース「莊子/盜跖」参照。
  • 痴人 … 愚か者。
余説
この詩の起・承句は『和漢朗詠集』巻下、無常に引かれている。
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