六韜 賞罰第十一
文王問太公曰、賞所以存勸、罰所以示懲。吾欲賞一以勸百、罰一以懲衆。爲之奈何。
文王、太公に問うて曰く、「賞は勧を存するゆえんにして、罰は懲を示すゆえんなり。われ、一を賞してもって百を勧め、一を罰してもって衆を懲らさんと欲す。これをなすこといかん」。
太公曰、凡用賞者貴信、用罰者貴必。賞信罰必、於耳目之所聞見、則所不聞見者、莫不陰化矣。夫誠暢於天地、通於神明。而况於人乎。
太公曰く、「およそ賞を用うるには信を貴び、罰を用うるには必を貴ぶ。賞信罰必、耳目の聞見するところにおいてすれば、すなわち聞見せざるところの者も、陰に化せざるはなし。それ誠は天地に暢び、神明に通ず。しかるをいわんや人においてをや」。