李衛公問対 卷上〔十一〕
卷上〔十一〕
太宗曰、司馬法首序蒐狩、何也。
太宗曰く、「司馬法は首めに蒐狩を序するは、何ぞや」。
靖曰、順其時而要之以神。重其事也。周禮最爲大政。成有岐陽之蒐。康有酆宮之朝。穆有塗山之會。此天子之事也。及周衰、齊桓有昭陵之師。晉文有踐土之盟。此諸侯奉行天子之事也。其實用九伐之法、以威不恪。
靖曰く、「その時に順いて、これを要するに神をもってす。その事を重んずるなり。周礼はもっとも大政となす。成は岐陽の蒐あり。康は酆宮の朝あり。穆は塗山の会あり。これ天子の事なり。周の衰えるに及んで、斉桓に昭陵の師あり。晋文に践土の盟あり。これ諸侯、天子の事を奉行するなり。その実は九伐の法を用いて、もって恪まざるを威す。
假之以朝會、因之以巡狩、訓之以甲兵。言無事兵不妄舉、必於農隙、不忘武備也。故首序蒐狩。不其深乎。
これを仮るに朝会をもってし、これに因るに巡狩をもってし、これに訓うるに甲兵をもってす。言は事なければ兵妄りに挙げず、必ず農隙においてし、武備を忘れざるなり。ゆえに首めに蒐狩を序せり。それ深からずや」。
- 蒐 … 底本では「嵬」に作るが、『直解』に従い改めた。