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呉子 序章

序章 図国第一 料敵第二
治兵第三 論将第四 応変第五
励士第六    
    
 序章
呉起儒服、以兵機見魏文侯。文侯曰、寡人不好軍旅之事。
呉起ごき、儒服し、兵機をもってぶん侯にまみゆ。文侯曰く、「寡人かじん軍旅ぐんりょのことを好まず」。
起曰、臣以見占隱、以往察來。主君何言與心違。今君、四時使斬離皮革、掩以朱漆、畫以丹青、爍以犀象。冬日衣之則不温、夏日衣之則不涼。爲長戟二丈四尺、短戟一丈二尺、革車掩戸、縵輪籠轂、觀之於目則不麗、乘之以田則不輕。不識、主君安用此也。若以備進戰退守、而不求能用者、譬猶伏雞之搏貍、乳犬之犯虎、雖有鬭心、隨之死矣。昔承桑氏之君、修徳廢武、以滅其國家。有扈氏之君、恃衆好勇、以喪其社稷。明主鑒茲、必内修文徳、外治武備。故當敵而不進、無逮於義矣、僵屍而哀之、無逮於仁矣。
起曰く、「臣、けんをもっていんを占い、おうをもってらいを察す。主君、なんぞ言と心とたがえる。今、君、四時に皮革を斬離ざんりし、おおうに朱漆しゅしつをもってし、えがくに丹青たんせいをもってし、かがやかすに犀象さいぞうをもってせしむ。冬日にこれをればすなわち温かならず、夏日ににこれをればすなわち涼しからず。長戟ちょうげきの二丈四尺なる、短戟の一丈二尺なる、革車の戸をおおい、縵輪篭轂まんりんろうこくをつくる。これを目にればすなわちうるわしからず、これに乗りてもってでんすればすなわち軽からず。らず、主君、いずくにかこれを用うる。もし、もって進戦退守に備えて、しかもよく用うる者を求めずば、たとえばなお伏雞ふくけいち、乳犬の虎を犯すがごとく、闘心ありといえども、これにしたがいて死せん。昔、承桑しょうそう氏の君は、徳を修め、武を廃して、もってその国家を滅ぼせり。有扈ゆうこ氏の君は、衆をたのみ勇を好みて、もってその社稷しゃしょくうしなえり。明主はここかんがみて、必ず内に文徳を修め、外に武備をおさむ。故に、敵に当たりて進まざるは義におよぶなく、僵屍きょうしにしてこれをかなしむは、仁に逮ぶなし」。
於是文侯身自布席、夫人捧觴、醮呉起於廟、立爲大將。守西河。與諸侯大戰七十六、全勝六十四、餘則均解。闢土四面、拓地千里。皆起之功也。
ここにおいて、文侯みずから席をき、夫人さかずきささげ、呉起をびょうすすめ、立てて大将となす。西河を守り、諸侯と大いに戦うこと七十六たび、全く勝つこと六十四たび、余はすなわちひとしくく。土を四面にひらき、地を千里にひらく。みな起の功なり。