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推敲

推敲すいこう
  • 出典:『唐詩紀事』巻四十(ウィキソース「唐詩紀事 (四庫全書本)/卷40」参照)
  • 解釈:文章の字句を何度も練り直すこと。唐の詩人とうが自作の句「僧はす月下の門」の「す」を「たたく」にするかどうか迷い、何度も練り直したという故事から。
  • 唐詩紀事 … 八十一巻。宋の計有功けいゆうこうの編。唐代の詩人1150人について、その詩・小伝および批評などを集めたもの。ウィキペディア【唐詩紀事】(中文)参照。
島赴舉至京、騎驢賦詩、得僧推月下門之句。
とうきょおもむきてけいいたり、りてし、そうげっもんたり。
  • 島 … 779~843。中唐の詩人、賈島。范陽(河北省)の人。あざな浪仙ろうせん。はじめ僧となり無本と号したが、のちに韓愈に詩才を認められて還俗げんぞくした。長江(四川省蓬渓県)の主簿に任ぜられ、のち普州(四川省)の司倉参軍に転任となったが、赴任しないうちにしゅっした。『賈浪仙長江集』十巻がある。ウィキペディア【賈島】参照。
  • 挙 … 科挙。官吏登用試験。賈島が受験したのは最も難関な進士科で、詩と賦とが出題された。ウィキペディア【科挙】参照。
  • 京 … 都のこと。唐の都、長安を指す。
  • 驢 … ロバ。
  • 賦詩 … 詩を作ること。
  • 僧推月下門 … 僧が月夜に他家を尋ね、月に照らされている門を手で押し開く。
欲改推作敲。
すいあらためてこうさんとほっす。
  • 敲 … (門を)たたく。
  • 欲 … 「ほっす」と読み、「~したいと思う」「~したいと願う」と訳す。
引手作推敲之勢、未決。
きて推敲すいこういきおいをすも、いまけっせず。
  • 引手 … 手振りをする。手で門を押したり、たたいたりのしぐさをする。
  • 推敲之勢 … 押すとたたくのしぐさ。
  • 未決 … まだ決まらない。なかなか決められない。「未」は「いまだ~(せ)ず」と読み、「まだ~しない」と訳す。再読文字。
不覺衝大尹韓愈。
おぼえず大尹たいいんかんあたる。
  • 不覚 … 思わず。知らず知らず。気がつかずに。うっかりして。
  • 大尹 … 都の長官。けいちょういん。「尹」は、長官。ウィキペディア【京兆尹】参照。
  • 韓愈 … 768~824。中唐の詩人・文章家。河陽(河南省孟州市)の人。あざな退たいおくりなは文。唐宋八大家のひとり。柳宗元とともに古文復興につとめた。ウィキペディア【韓愈】参照。
  • 衝 … ぶつかる。衝突する。ここでは都の長官である韓愈の行列にぶつかること。
乃具言。
すなわつぶさにう。
  • 乃 … 「すなわち」と読み、「そこで」と訳す。
  • 具 … 「つぶさに」と読み、「詳しく」「事細かく」と訳す。
愈曰、敲字佳矣。
いわく、こうし、と。
  • 佳 … よい。
  • 矣 … 置き字。訓読しない。断定の意を示す。
遂竝轡論詩。
ついくつわならべてろんず。
  • 遂 … 「ついに」と読み、「そのまま」と訳す。「とうとう」の意味ではない。「とうとう」のときは、「卒」「終」などが用いられる。
  • 並轡 … 馬の頭を並べていっしょに行くこと。「轡」は、づな
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句