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慎独

慎独しんどく
  • 出典:『大学』伝六章(ウィキソース「四書章句集註/大學章句」参照)、『中庸』第一章(ウィキソース「四書章句集註/中庸章句」参照)
  • 解釈:一人でいるときにも行いを慎み、心を正しくすること。また、自分だけが知っている心の状態を慎むこと。「独」は、一人でいる状態だけに限らず、他人は知らないが自分だけは知っているという境地も指す。「独りを慎む」「其の独りを慎む」「君子は独りを慎む」とも。
  • 大学 … 儒教の経典けいてんの一つ。一巻。もとは『礼記』の中の一編であるが、宋代に朱子が本文を章句に分けて校訂し、自己の注釈を付して四書の一つとした。孔子の言葉を曾子が祖述したといわれる「けい」一章と、経についての曾子の注釈を曾子の門人が記録したといわれる「でん」十章からなる。ウィキペディア【大学 (書物)】参照。
  • 中庸 … 儒教の経典けいてん。一巻。戦国時代、孔子の孫の子思ししの作といわれる。本来は『らい』の中の一篇。朱熹(朱子)は「四書」の一つに加え、全体を三十三章に分けた『中庸章句』という注釈書を作った。ウィキペディア【中庸】参照。
〔大学、伝六章〕
所謂誠其意者、毋自欺也。如惡惡臭、如好好色。此之謂自謙。故君子必愼其獨也。
所謂いわゆるまことにすとは、みずかあざむきなり。あくしゅうにくむがごとく、こうしょくこのむがごとくす。これこれみずかこころよくすとう。ゆえくんかならひとりをつつしむなり。
  • 誠其意 … 自分の思いを誠実にする。
  • 毋自欺也 … 自分で自分を欺いてはいけないということである。
  • 如悪悪臭 … (悪事を憎むこと)くさいにおいを忌み嫌うように。
  • 如好好色 … (善を好むこと)美しい色を好き好むようである。
  • 自謙 … 自分自身が心地よく満足する。
  • 慎其独 … 他人は知らないが自分だけは知っているという心の状態を慎む。
〔中庸、第一章〕
道也者、不可須臾離也。可離非道也。是故君子戒愼乎其所不睹、恐懼乎其所不聞。莫見乎隱、莫顯乎微。故君子愼其獨也。
みちなるものは、しゅはなからざるなり。はなきはみちあらざるなり。ゆえくんえざるところ戒慎かいしんし、きこえざるところきょうす。かくれたるよりあらわるるはく、かすかなるよりあきらかなるはし。ゆえくんひとりをつつしむなり。
  • 須臾 … ほんのわずかの時間。
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た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
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